ドリル・ミュージックの牽引役が語る、18歳から25歳になって感じた「変化」とは?

G・ハーボ(A Courtesy of UMusic)

リル・ウェインが『Tha Carter II』を2005年にリリースした時、G・ハーボ(G Herbo)ことハーバート・ライトはシカゴに住む10歳の少年だった。

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ウェインはこのアルバムでラップ界の貪欲なアンチヒーローとしてトップに君臨し、新たな時代を切り開いた。それがシカゴの少年の琴線を鳴らした。「とにかく渇望を感じたよ」。アルバムを聴いた時のことを、ハーボはこう語る。「声に渇望がにじみ出ていて、その当時彼が音楽に込めた思いが反映されていた――自分も同じことをしたくなった」

そして現在、ライトはG・ハーボとして名を知られ、おそらく生まれ故郷シカゴの歴史でもっとも愛され、広くコピーされているサブジャンル、ドリル・ミュージックを牽引するラッパーの1人となった。重たく響く声が特徴的だが、ドリル・ミュージックの代表格として世に出た頃のライトはまだ10代だった。デビュー作は2014年のミックステープ『Welcome To Fazoland』。ドリルらしいゴシックなメロディとダンサブルなドラムに、自叙伝的で古典的ともいえる手法を組み合わせた作品だ。



ハーボには俗っぽい80年代の楽曲を禍々しいものへと変える魅力と厳粛さがある。彼のラップは肉厚で、容赦ない。作品をリリースするペースもまたしかり。『Fazoland』をリリースして以来、彼は7年間で9枚のスタジオ・アルバムと2枚のEPをリリースしている。「今この瞬間を生きる、という感じだったことは一度もない」と、飛ぶ鳥落とす勢いの音楽生活について本人はこう語る。「俺の視線はいつも、次のことに向いている」

ここ最近の2枚のアルバムは、いずれもリリース1週目でチャートのトップ10圏内にランクイン。7月にリリースされた最新作『25』は初登場5位だった。だがシカゴやラップ界では大勢の人々が、ハーボを一言で表現しろと言われたら「ハングリー」と口を揃えて言うだろう。ウェインと比べたらまだまだ足りない、と本人が言うのも頷ける。「『お前が一番だ、おそれいった』と言われる域にはまだ達していない」とハーボはローリングストーン誌に語った。「俺が常に目指していたのはそこなんだ」。いまや父親となり、生まれ故郷から2000マイル離れた街で暮らし、大人の世界へ足を踏み入れたハーボは、『25』の中でこれまでの半生を反芻している。レコーディング・プロセスの詳細、ロサンゼルスでの新生活、10代と今の自分がどれほど違っているかについて語ってもらった。

Translated by Akiko Kato

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