ドリル・ミュージックの牽引役が語る、18歳から25歳になって感じた「変化」とは?

完璧主義者の悩み

ー作曲はいつもスタジオでしているんですか? それとも家? あるいはブースに入った時にひらめくんですか?

普段はスマホで曲を書く。たいていは家にいると頭に4~6小節が浮かんで、それを書き留める――ビートのない状態でね。リズムの大半はそういう風に浮かんでくる。それをスマホにメモして、スタジオに入ってビートを感じたら、ブースに直行して収録する。(その時点では)特定のテーマについて書こうと思わない限り、曲は書かない。スタジオにいるときでも曲を書くのは(せいぜい)15~20分ぐらいだ。曲作りに無駄に時間をかけたくないんだよ、いろんな考えがごっちゃになる気がするからね。曲の出だしのアイデアだけ――最初の8~12小節ぐらいかな――そこから後は自然に出来上がっていく。



ー自然に出てきたものに自分でも驚いたことはありますか?

もちろんさ――でもそういうことは、実際にレコーディングを終えてからだね。聴き直して、どこからこんなラップが出てきたんだ、と腰を抜かしたりする。頭から自然に出てきただけなんだけどさ。(曲をすべて)丁寧に書いていたころに戻りたいね。音楽活動を始めたころは、1曲まるまる仕上げてからスタジオに入ってレコーディングしていた。あの頃に戻りたいよ。レコーディングセッションに金がかかったから、そういうことはしなくなった。でも今は自分の家に設備があるから、ブレストして、(スタジオで)最初から曲を書くという贅沢も許される。昔に戻りたいね。いちから曲を書くようになったら、俺の音楽ももっと良くなると思う。

ーもっと良くなるとおっしゃいましたが――今のやり方では曲に欠点がたくさん残っている状態だと感じているんですか?

俺は完璧主義者だから、いつも細かいところを変えているんだ。曲を収録して、それが終わると、もう1度曲全体や特定の単語を聴き直す。細かいところが気になるんだ。theとかtheyとかitとかを違う風に表現したがったり、他の言葉に置き換えたがったり。次のフロウが良くなるんだったら、どんなに細かい点も変える。俺はディテールにものすごく注意を払うんだ。スタジオに戻って、リリースする前に特定の部分を修正したりすることもある。だがそれまでは何週間もデモを聴いて過ごす。そのあと、ここを変えてみようか、ということもあれば、次のレコーディングまで持ち越すこともある。16小節書いて、完璧なフックが見つかるまで放置することもある。レコーディングに関しては、俺にはいろんなテクニックやアイデアがあるんだ。

Translated by Akiko Kato

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