イマジン・ドラゴンズが語るバンド再始動の裏側、リック・ルービンと幻覚体験

イマジン・ドラゴンズ(Photo by Neil Krug)

今年3月、3年ぶりの新曲「フォロー・ユー」と「カットスロート」を発表したイマジン・ドラゴンズ。フロントマンのダン・レイノルズが、来たるニューアルバムにも参加しているプロデューサーのリック・ルービンと、ブラジル産の蔓性植物「アヤフアスカ」の手を借りて、バンドと人生を再構築した過程を説明してくれた。


リック・ルービンとの共同作業

一「カットスロート」はこれまでのイマジン・ドラゴンとはずいぶん違いますね。

ダン:リックとは特にこの曲に力を入れて取り組んだ。リックはこれまで仕事した他の誰とも違っていたよ。なにしろ伝説のリック・ルーベンだから、どうなるか全く予想がつかない。彼がカウチに寝そべって、カニエ・ウェストやらと仕事している姿以外はね。でも彼は、こっちの予想とはまるで違っていた。

一具体的には?

ダン:ずっと彼のことは、好きなようにやらせて全体を取りまとめるタイプ、もしくは口数の少ない人だと思っていた。でもそんな感じじゃなかった。彼は細かく指示を出すタイプで、積極的に関わってくれた。僕の予想通りだったのは、とても率直だった点かな。そこが一番好きだったところさ。たいてい僕らは自分たちの音楽を自分たちでプロデュースしてきた。いいように作用することもあるけど、大変な時もある。全然バラバラの方向を向いている4人が集まっているんだからね。でもリックは舵取りが上手くて、非常に率直で、歯に衣を着せたりしなかった。気に入ったら気に入ったと言うし、気に入らなければ最悪だと言った。僕らにはそれが必要だったと思う。

コロナの最中、この3年で書き溜めた曲を100曲、彼に送った。そしたら彼は1曲1曲すべてにメールでコメントをつけてくれたよ。ちょうど一緒に仕事するかどうか話し合って、互いのことを知り始めていたころだ。まさかそんなことをしてくれるとは思ってもいなかったよ。きっと「こんなにたくさんの曲は聞ききれない」と言われるか、適当に流されると思った。でも彼は全部ちゃんと聞いて、率直なコメントをくれたんだ。



一そもそも彼と知り合ったきっかけは?

ダン:僕はたくさんヒップホップを聞いて育ったから、彼の作品はよく知っていたんだ。カニエにしてもビースティ・ボーイズにしても、彼が手がけたアルバムからとても影響を受けたしね。そう、常にリックがそばにあった。特にカニエとのアルバムでは、居心地が悪くなるギリギリのところまで推し進めているのがわかった。イマジン・ドラゴンズにもそういうのが必要だと思うよ。バンドの最大の欠点のひとつは、安心感だと思う。たとえば「カットスロート」は、僕だったらちょっと居心地が悪くて隠したくなるような部分だけど、彼はそれを気に入った。あまりにもイマジン・ドラゴンズらしくないから、僕だったら絶対あの曲はリリースしなかったし、デモも作らなかっただろう。でも彼のおかげで僕もあの曲を受け止め、自分のそういう部分を好きになれた。それが曲作りにすごく役に立ったよ。

Translated by Akiko Kato

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