バイデン政権の約200兆円経済対策、困窮するライブハウスへ救いの手

「修正案のおかげで、数え切れないほどのライブハウスが倒産を免れるでしょう。SVOGの補助金が受け取れるまで、PPPローンによる現金でなんとか持ちこたえられますから」と、National Independent Venue Association(NIVA)の委員長とミネソタ州ミネアポリスの独立系ライブハウス兼プロモーター・First Avenue ProductionsのCEOを兼任するデイナ・フランク氏は、修正案の成立発表と同時にコメントした。

数週間前は、倒産という苦しい選択を迫られていた無一文の多くのライブハウスオーナーにとって今回の修正案は思いがけないチャンスだ。ライブエンターテインメント業界のニーズに特化してはいるものの、いつ受け取れるかわからないSVOGの補助金を申請するよりも、3月31日までにPPPローンに申し込めばすぐに現金が手に入り、経費に当てられるのだから。

やきもきさせられるのは事実だが、SBAがいまだにSVOGプログラムをスタートできていないのも無理はない。SBAが営利目的の事業者に補助金を直接給付するのは今回が初めてであることに加え、SVOGはまっさらの状態から始まったプログラムなのだ。同プログラムが法律を順守していることはもちろん、ライブハウスのみならず、SVOGの管轄下にある独立系映画館や博物館といった全事業者に合ったガイドラインや不正に対する防衛手段を設けなければいけない。

「SBAに対して公平を期すためにも言わせてください。SBAはあくまで貸し手であり、連邦政府に代わって補助金を分配する機関ではありません」と、コロラド州デンバーのレヴィット・パヴィリオンの創設者・運営者であり、NIVAの会員でもあるクリス・ザッハー氏は先日メールでのインタビューに応じた。「補助金を分配する手段を確立するのは、時間がかかります。組織に経験がなければ、それだけ実施に時間を要するのです。SBAは、すべてが正確に機能していることを保証すると同時に法律も守らなければいけません。これは、かなりの大仕事です。その一方、人々のいらだちも募ります。典型的な“鶏が先か、卵が先か?”の状態なのです」

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さらに事態を複雑にしているのがSVOGの優先順位づけだ。SVOGの規定によると、プログラム開始から14日以内に申請できるのは収益が90パーセント以上減少した事業者のみだ。収益が70パーセント以上減少した事業者の申請期間は次の14日間で、25パーセント以上減少した事業者が最終的に申請できるのは、プログラム開始から28日後だ。この優先順位づけは、もっとも打撃を受けた事業者が優先的かつ確実に支援を受けられるようにと設けられたものだが、優先順位が2番目、3番目の事業者も何もできないままPPPローンの期日だけが過ぎ、SVOGに申請しても資金不足を理由に断られるという窮状に容易に陥る可能性もある(現時点では、162億5000万ドル[約1兆7700億円]がSVOG用に確保されており、必要としている人々を助けるのに十分な金額だと言われている一方、大勢が応募することが予想されるため、この資金もすぐに枯渇すると懸念されている)。

Translated by Shoko Natori

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