規格外の大型新人ブラック・カントリー・ニュー・ロード、ポストジャンル世代のバンド哲学を語る

サウスロンドン・シーンとの繋がり

―BC,NRはおおまかに「南ロンドンのシーン」に含まれています。とても活気のあるシーンですが、ロックから前衛、ジャズまでバラバラなバンドや音楽性をまとめているものがあるとしたらそれは何だと思いますか。なぜ、南ロンドンでこの状況が起きているのでしょう?

ルイス:アーティストのクリエイティヴィティを本当に養って育てくれる、そういう会場がひとつあるからだよ。そこはThe Windmillっていう名前の会場で、南ロンドンで音楽的に多くのことが起きているのはそのせいだ。僕たちもそこには感謝しなくちゃいけないだろうね。

―そのWindmillと言えば、同会場を応援する資金調達のチャリティ・ライブをブラック・ミディとのコラボの形で昨年やりましたね。若い世代のバンドが盛り上がっていますが、中でもブラック・ミディはあなたたちがもっとも親近感を覚える存在?

メイ&タイラー:うん。

ルイス:そうだね、間違いなく。彼らは友人だし仲が良い。


両バンドが合体した「Black Midi, New Road」としてのライブ映像、Windmillにて収録

―そういえば、ルイスはスクイッドの1stアルバム『Bright Green Field』(今年5月7日にワープよりリリース予定)にゲスト参加しているそうですね。

ルイス:うん。

―どんな体験でしたか?

ルイス:すごく良かった。本当に楽しかったし、フリーな即興っぽいことをやって。すごく良い経験だったし、彼らのアルバムは素晴らしい音に仕上がっているよ。あれをやれたのは抜群だった。



―3月7日にはアルバム発表記念のVRライブをクィーン・エリザベス・ホールでおこなう予定だそうですが、演奏中にもっと動き回るつもりですか? 

メイ:アハハハッ!

―あなたたちのライブはいつも、狭い舞台に押し込まれて全員が石像のようにじっとしている印象なんですけど。

ルイス:(笑)

TE:(笑)それくらい演奏に集中してるから、動く余裕なんかない! 

―QEHは広いから、自由に動きやすいと思いますよ。

タイラー:(苦笑)それはどうかなあ〜? まあ、見てのお楽しみ……っていうか、本当に久しぶりのライブだから、すごく緊張して固まっちゃうかも。怖くて、(笑)かえって余計に動けなくなりそうな気がする。

―無観客のギグだから緊張しないのでは?

タイラー:うん、ただ、ライブだし。

ルイス:お客は入れないけど、生でストリームされるからね。なぜだか、そっちの方が逆にビビらされるっていう。

メイ:そうそう。



―イギリス同様、日本でもなかなかライブを観られない残念な状況が続いて久しいです。私自身、ライブってどんな体験だったっけ? 生でバンドを観るのってどんな感じだった?と忘れそうになるくらいで。観客として、あるいはプレイヤーとしての観点からでもいいのですが、ライブを体験することの良さや重要性、その喜びをあなたたちなりに話してもらえますか?

タイラー:ライブ・ギグの良さはやっぱり、音楽をフィジカルに体験できるってところじゃないかな。「フィジカル=肉体的に」っていうのは、まあ、私はベース奏者だからやや常套句な言い方かもしれないけど、文字通り、自分の身体を波動が伝わって走っていくのを実感する。そうやって音楽との繫がりを体感できるし、ハートと頭の双方が直撃されて。そのヴァイブレーションの衝撃は、音楽をラジオで聴いた時とか、各種メディア再生プレイヤーで聴いた時には起こり得ないものであって。うん、ライブで起きる音楽とのフィジカルな結びつき、私はそこだと思う。




ブラック・カントリー・ニュー・ロード
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