規格外の大型新人ブラック・カントリー・ニュー・ロード、ポストジャンル世代のバンド哲学を語る

バンドよりも友情のほうが大事

―BC, NRはいわゆる典型的な「男4人のギター・バンド」ではないですし、男女混成7人編成は残念ながらロックやインディ音楽界ではまだ風変わりと思われがちです。そんなあなたたちがバンドを始めた頃に目指したゴールや動機、バンドとして打ち出したい声明はどんなものだったんでしょう?

ルイス:僕たちはとにかく、みんな友だち同士だったんだよ。純粋に、音楽的に、お互いの演奏の仕方が気に入った。正直、「うーん、これはちょっと一般的な『ロック・バンド』像に当てはまる編成じゃないな」だの、「女の子がいる」だの、そういったことは誰の頭にも浮かばなかったと思う。それよりも第一に、自分たちが友人仲間だった、その事実の方が大きいんじゃないかな。さっき言ったように、全員がお互いの演奏ぶりを良いな、好きだと感じたわけで……うん、バンドをやることにした動機といったら、ほんと、そこだね。それ以上の、ご大層なことはこれといってない。前もってあれこれ考え抜いて始めたものではないし、バンドに7人いるのは僕たちには別に不思議でもなんでもない。周りからすれば妙に映るのは僕も承知だけど、単にずっとこういう大編成でやってきたし、これが普通であって。自分たちにとってやっていて楽しいのはこれだ、そういうこと。



―個性派ぞろいの大集団は基本的にどんな風に動いているんでしょう。完全に民主的? それとも、誰かがリーダー的に指示を出して引っ張っていく?

タイラー:かなり民主的。

―全員が貢献し、それぞれのインプットを加えていく、と。

タイラー:そう。まあ、楽曲の開始点みたいなものを誰かひとりがセッションの場に持ち込む、ということはある。でも、そのとっかかりもあっという間に他の全員が取り込んでしまうし(笑)、誰もがそれに合わせて自分のパートを書いていく。そうしながら、そのアイディアに合いそうだとみんなが思ったパートをあれこれ付け足していく、そんな具合で。

ルイス:それもあるし、特に、7人も――いや、僕の視点から言えば自分以外の6人ってことだけど、このバンドには本当に、非常に優れた演奏家兼作曲家が他に6人もいるわけで。ということは、ひとりじめして自分で曲の何もかもを書こうとするのって、このバンドの持つものすごいポテンシャルを無駄にすることになるわけで、とてももったいないよ。絶対にそうあるべきじゃない。

メイ&タイラー:うん。

ルイス:だから、みんながそれぞれ自分の意見を出せる、その点は大事なんだ。他の人間の考えの方が自分のそれよりも優れているってケースはしょっちゅう起きるし、だったらそのより良い意見に従う。メンバー全員がお互いに対して抱いている相互のリスペクトの念、そのおかげで僕たちはかなり民主的にバンドをやれているんじゃないかな。たとえば、僕が思いついたアイディアがあって、でも、ジョージア(・エラリー/バイオリン)はそれをやりたがらなかったとする。でも僕たちは、たとえ自分の意見に同意しないとしても相手を尊重しているから、その思いつきはボツにしてそれ以上探らない、みたいな。「自分の『これをやるべきだ』という考えよりも、彼らにはもっと良いアイディアがあるんだろう」と考えて自分の意見を引っ込めることができる、それくらいリスペクトがあるわけ。

だから何もかもは、僕たちがお互いに対して抱く敬意、そして双方の間で育んできた友情を基盤にして機能している。ってのも、もっと大事なのは――僕たちの間にある友情、そっちの方がバンドよりもずっと大事だから。せっかくのこの友情がバンドのせいで、ちょっとしたくだらない音楽のせいで台無しになってしまったら、意味がないよ(笑)。

メイ:(笑)

タイラー:(笑)すごく良いこと言うね〜!

ルイス:(照れ笑い)

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