My Hair is Bad、はじまりの場所・上越で魅せた「無観客」の必然

「……どこを見てしゃべりゃいいのか、全然わかんない」と、頭4曲を歌い終えたところで戸惑っていた椎木知仁(Gt.Vo)だが、「配信、初めてですけれども、My Hair is Badが画面の中でもMy Hair is Badでいられるように、全力出して、すべて出しきっていきます。どうぞよろしくお願いします!」という力強い言葉でそのMCを締め、その後も1曲1曲にあらゆる感情を注ぎ込みながら、歌っていく。

緊急事態宣言中も、いつライブができるようになってもいいように、気持ちを切らさないように、個人練習や体力維持に努めていたという山本大樹(Ba.Cho)は、自粛期間前とまったく変わらぬ重心の低いフォームで曲のボトムを支える。同じく、コンディションを落とさないように筋トレに励んだ結果、体重が10キロ落ちたという山田淳(Dr.)は、My Hair is Badのホームであるライブハウス、上越EARTHのTシャツ姿で、時にどっしりと、時に前のめりに荒々しく、ビートを刻み続ける。


Photo by 藤川正典

二度目のMCで、「久しぶりの本番日、こんな集中するもんなんだ、ライブ」と椎木。山田は「笑けてきちゃうわ」と返す。3人で向かい合って演奏していることが照れくさいようだ。「いや、俺はいつでもまじめにやってるから。おまえ、笑いの方に行っちゃってるやん」と、山田にツッコミを入れる山本。はりつめていた緊張の糸が、この時、ちょっとほぐれた。続く9曲目「真赤」では、カメラが360度移動しながら3人を捉える。12曲目「白熱灯、焼ける朝」からは、曲タイトルに呼応するかのように照明がオンになり、3人を照らし始める。この時点ではまだ周囲は明るかったが、徐々に日が沈んでいく。

Rolling Stone Japan 編集部

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