裏拍と表拍が織りなす奇っ怪なリズム、ルーファス代表曲を鳥居真道が徹底考察

シェウン・クティ&エジプト80に「African Soldier」という曲があります。ギターリフから始まる曲ですが、バンドがインすると、リフの裏と表がひっくり返ります。ひっくり返るというか、表と思わせておいて実は裏だったと言ったほうがより正確かもしれません。これは、あえてミスリードを誘発するようにデザインされているように思われます。ちなみに、XTCの「Wake Up」のイントロも同様の技法が使われています。つまり表かと思わせておいて実は裏というパターン。はっいえんどの「抱きしめたい」のイントロもトリッキーなことで有名です。こちらは裏表が判然としないというよりも、拍の迷子になるといった感じですね。4拍目から演奏が始まっていると解釈するのが理に適っているように思います。

これらのイントロは、バンドがインした後にネタバラシが行われるわけですが、「Tell Me Something Good」の場合は、ネタバラシがないままサビまでいくので大変です。裏表が逆さにならないよう気を配りつつ、「ワンツースリーフォー」と拍をカウントしようとすると、「抱きしめたい」のイントロのような混乱がもたらされます。まさに迷子のような気分です。けれども、ノレないかと言ったらまったくそんなことはありません。まごうかたなきファンキーさがあってむろん踊れます。それがこの曲の淫靡的な魅力を土台で支えていると言って差し支えないでしょう。

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