裏拍と表拍が織りなす奇っ怪なリズム、ルーファス代表曲を鳥居真道が徹底考察

トニーティーからこうしたアイデアを授けられて以来、リズムが聴こえてきたら、表拍で首の力を抜いて頭を前に突き出し、裏拍で僧帽筋を緊張させて頭を後ろに引っ込めるというラリーを続けながらリズムを取る癖がついています。

例のごとく頭を前後に揺らして「Tell Me Something Good」を聴いていたところ、サビに差し掛かったところで、裏表がひっくり返ったように感じられました。通常、4/4拍子の曲の途中で裏表がひっくり返るということはありません。一体何が起きたというのでしょうか。

順を追って説明していきましょう。まずイントロの「ブンチャッ、ブンチャッ」というリズムを聴いて、「ブン」が表拍、「チャッ」が裏拍だと解釈しました。この状態でヴァースを聴いていきます。その後、ジャングル的な雰囲気を醸す男性コーラスで彩られたドラムブレイクに突入します。この箇所で小節の長さに違和感を覚えつつ、サビに突入します。このときに裏と表がひっくり返っていることを確信します。

その後、サビで裏表を修正した上で2番のヴァースを聴いていくと、どうも1番で表だと思っていた箇所が裏ではないのかというぼんやりとわかってきます。

気を取り直して再びイントロから聴いてみましたが、やはり「ブンチャッ」と来られると、どうしてもそれを「ブン」=表、「チャッ」=裏と認識してしまいます。特に「チャッ」に関しては、レゲエやスカの裏打ち的なパターンにしか思えない。「チャッ」と来たらば裏だと思う癖がついてしまっているのです。それゆえ、ヴェンチャーズによるチャック・ベリーのカバー「Memphis」や、ビートルズの「She’s A Woman」のイントロを聴いても、「このギターの刻みは裏だな」と確信が持てるのです。



しかし「Tell Me Something Good」の場合、「チャッ」が表で「ブン」が裏なのです。演奏が裏拍から始まるので、益々混乱してしまいます。そして、おそらくこれは意図して混乱させているような気がしてなりません。

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