裏拍と表拍が織りなす奇っ怪なリズム、ルーファス代表曲を鳥居真道が徹底考察

それは、ルーファスの「Tell Me Something Good」を聴いているときに起きました。ルーファスはチャカ・カーンがボーカルを務めたことでおなじみのバンド。今回はこの曲を取り上げて、「裏と表」を利用したトリッキーなリズムの技法について考えていきたいと思います。



「Tell Me Something Good」は彼らの代表作であり、70年代のファンクを代表する曲だと言って過言ではありません。イントロから聴こえるワウのかかったクラビネットの響きがこの曲を印象づけています。人はクラビネットを前にしたとき、おそらく「Superstition」を弾くことでしょう。それは避けられないことです。言うまでもなく「Superstition」はスティービー・ワンダーの代表曲ですが、スティービーはこれ以外にも、クラビネットを使った名曲および名演をたくさん残しています。例えば、「Shoo-Be-Doo-Be-Doo-Da-Day」、「We Can Work it Out」、「Higher Ground」、「Tuesday Heartbreak」など。

ルーファスの「Tell Me Something Good」は、クラビの名手であるスティービーが提供した曲です。クレジットを見る限り、本人は弾いていないようですが。クラビネットと言えばパラディドル奏法です。クラビのパラディドル奏法とは、低音部の左手、高音部の右手を同時に打鍵せずに、バラバラに演奏するというものです。「LR」で表記すると「LRLLRRLRLRRLRLRL」といった具合になります。ヴルフペックの「It Gets Funkier IV (feat. Louis Cole)」でジャック・ストラットンが披露しているのがまさにパラディドル奏法で、さしずめ「誇張しすぎたパラディドル奏法」と言ったところでしょうか。

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