クルアンビンは米が美味しい定食屋!? トリプルファイヤー鳥居真道が語り尽くすリズムの妙

トリプルファイヤー鳥居真道が購入したばかりのベース

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤー 。ヴォーカル吉田靖直のナンセンスな歌詞に注目が集まることが多いが、「高田馬場のJOY DIVISION」、「だらしない54-71」と呼ばれたこともあるように、その音楽性はかなり特殊で技術的である。そんなトリプルファイヤーの音楽性のブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」がスタート。記念すべき第1回は、「FUJI ROCK FESTIVAL’19」にも出演が決まっているクルアンビンの「Evan Finds The Third Room」のリズムを徹底的に考察! 曲を流しながら読むことをオススメします!

「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」Vol.1
クルアルビン「Evan Finds The Third Room」



去る3月22日、かねてより愛聴していたバンド、クルアンビンの来日公演に行ってまいりました。これが本当に素晴らしかった。今まで観たライブの中でも最も良かったといっても過言ではない。そして、贔屓のベーシスト、ローラ・リーがやはり素敵でした。彼女の仕草には、バンドの低域を担うベースという楽器が本来的に備えている色気、官能を表すようなところがあります。これぞまさに音動一致による「下半身モヤモヤ」感覚。

「下半身モヤモヤ」とは、細野晴臣がYMOを結成するときに設けた3つのテーマのひとつで、端的に言ってリズムのことです。残りのふたつは「頭クラクラ」と「みぞおちワクワク」。前者はコンセプト、後者はメロディのことです。説明せずとも感覚的におわかりいただけるかと思います。よくこんな明快なコピーが思いつきますよね。

クルアンビンはタイの70年代のファンキーな音楽からの影響について言及されがちですが、個人的には演奏そのものに旨味が凝縮されているように思います。例えるなら、米が美味しい定食屋といったところでしょうか。もちろん彼らの音楽が放っている情緒やムードも素晴らしいし、上手なうえにさりげないギターも魅力的ですが、個人的にはリズム隊に惹かれます。

今回は『Con Todo El Mundo』で最もダンサブルといえる「Evan Finds the Third Room」を取り上げてクルアンビンのリズム面の素晴らしさについて語りつつ、ローラ・リーを礼賛したいと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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