1986年にリリースされた大ヒット曲
―さて……今回から新たにヒップホップ編が始まります。
楽しみだなぁ! この連載があるからヒップホップ聴かなきゃっていうんじゃなくて、自然とそういう音楽を聴ける耳ができた気がするからうれしいです。
―今日はベースがある程度できた状態で臨めてると。
そう、何も聴いてないよりはいいはず。
―でも、メタルに関してはhideさんとかある程度基準になる音があったからなんとなく選びやすかったんですけど、ヒップホップはそれがないから難しくて。
たしかに、私の軸が何もないですからね。
―ヒップホップってどういうイメージがありますか。
なんて言うんだろうなあ、声が低い人が多いイメージです。あと、これはすごい偏見ですけど、ワルなイメージがあります(笑)。
―不良っぽいというか。
うん、そうそう。だから、メッセージ性もすごく強そう。でも、最初はゴリゴリなイメージしかなかったですけど、聴いているうちにそうじゃなさそうな人もたくさんいることがわかって。
―じゃあ、この音楽がどう成り立っているかというところまではわからないですよね?
ああ、わからないです! 前に聴かせてもらったヒップホップとメタルが融合した曲はめっちゃ好きだから、そういうのは好きだと思います。
―ただ、残念ながらあれはすごく狭い範囲の話なんですよ。
え、そうなんだ!
―バンドがヒップホップを取り入れるパターンはリンプ・ビズキットとか色々いますけど、ヒップホップのほうからメタルの要素を取り入れて活動している人はごく少数なんです。じゃあ、とりあえず様子見で1曲聴いてもらいましょうか……あ、カルチャーを知るという意味で、ヒップホップは映像表現もけっこう大事なポイントだったりするので、今回からミュージックビデオも込みで聴いてもらいたいと思います。
Walk This Way / AEROSMITH
このフレーズってこの曲だったんだ!
―これは86年にリリースされた、Run-DMCという人たちの大ヒット曲なんですけど、この人たちがエアロスミスの「Walk This Way」という曲をカバーしたんですよ。
あ! なるほど! そういうことなんだ。
―今考えると信じられないですけど、この時代のエアロスミスはすごく低迷していて、メンバーがクスリにハマったりして制作活動が上手くいかなくなって、落ちぶれてしまったんです。だけど、この曲のおかげでエアロスミスが再び表舞台に引っ張り上げられて、その後の活躍に繋がっていくんです。
なるほど。
―あと、Run-DMCはアディダスを流行らせた人たちなんですよ。
アディダス流行らせちゃったの!? アディダスからしたら神様じゃないですか! あはは!
―このMVでもアディダスを履いてます。
……あ、本当だ!
―ヒップホップはこの曲がヒットする前から存在していた音楽ですけど、この曲をきっかけに広く知られるようになっていったんです。
へぇ~。
―ヒップホップとして最初の大ヒット曲がロックとの融合だったというのは面白いですよね。
ヒップホップのほうがロックよりも先に売れてると思ってた。歴史が長そう。