SKY-HIとSTAMPが語る、日本とタイの音楽カルチャーシーン

ーコロナ禍以降のお話も伺えればと思います。何かミュージシャンを取り巻く状況で、大きく変わったことはありますか?

STAMP:いや、特にないですね。

ーあ、そうなんですね?

SKY-HI:羨ましい(笑)。

STAMP:ほぼ4ヵ月間は仕事がなくなってしまって、ロックダウンされた期間は外出禁止令もあったので、スタッフや制作チームの動きは変わってきたんですけど。その間はInstagramでライブをやっていました。タイではちょっとずつ通常通りに戻ってきていて、オンラインライブも減っていっている状態です。

SKY-HI:タイの感染者数、1日5人とかだもんね。

STAMP:そうですね。なので小規模のライブは戻ってきていて、アリーナ規模のライブをちょっとずつ計画し始めているところも出始めているところです。

ー一方日本はまだ難しい状況が続きそうです。SKY-HIさんも先日KT Zepp Yokohamaにて無観客オンラインライブをやられていましたが、そこで感じた手応え、もしくは難しさはありましたか?

SKY-HI:手応えで言うと、やりがいがすごくあります。マイク持ちの資質って、要は空気を掌握することだったりするじゃないですか。だからライブって、毎回違うお客さんがいる中で何をするかってことが大事だったと思うんですけど、オンラインライブはそういう意味での“空気”というものが存在しないので。本当にクリエイションに集中できるから、実はすごく健康的なんですよね。本番のコンディションも含めてすべてが画面の中に集約されるっていうのは緊張感もすごいし、演出を考えるのも楽しいです。ただ、(難しい点を挙げるとするなら)これは本当にビジネスとして成立するのは難しいなっていう、本当にそれ(笑)。無料公開だとビジネスになり辛いのは当然ですけど、有料にすると新しくファンになるという可能性が低いんですよね。

ーああ、確かにそうですね。

SKY-HI:有料のオンラインライブって、もう既に応援してくれている人が常識に見合った額を払ってくれるという形なので。直接行くっていう体験を伴う行為だと話が変わっていくんですけど、多分今既に好きじゃないアーティストだったら、どんなに事前にすごいって言われても、チケットを買うという行動にはなかなか結びつかないのかなと。なのでオンラインライブは新しくお客さんを増やしたり、大きなビジネスになることは難しいと思います。

ーなるほど。

SKY-HI:僕はこれからオンラインライブが主流になっていくとは全く思っていないです。ただ、オンラインでしかできないのなら、オンラインでやる意義とかクリエイティビティを諦めたくない。やれることは確実にあるはずですし、結果として何か大きなビジネスになることがあるとしたら、それはクリエイトがいいから何かに繋がるという道筋しかないと思う。だって、今いきなりサザンオールスターズになって何十万人が見てくれるなんてことはないから。地道にできるクリエイトを続けていくしかないし、毎回ベストより1個上を目指すような、常にニューみたいな形でやり続けるしかないと思っています。

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