ReNが語る、レースの世界で学んだこととシンガー・ソングライターの共通性

バンドではなくシンガー・ソングライターを選んだ理由

―ReNさんはライブも一人でやりますよね。バンドではなく、なぜ一人でのパフォーマンスを選んだのですか?

大好きなエド・シーランやコールドプレイといったアーティストたちからのインスピレーションが大きいんですけど、彼らの孤独な姿勢にずっと突き動かされてきたんです。みんなで肩を組んで、みんなで奏であう音楽の素晴らしさを僕も知っていますが、シンガー・ソングライターが一人でステージに立つ姿勢っていうのは、F1ドライバーが一人でグリッドに立って、シグナルをずっと待っているのとすごく似ているんですよね。もちろんメンタリティは違いますよ。「勝つため」に音楽をやっているわけではないので。でもシンガー・ソングライターは自分自身と勝負しているようなところがあって、そういう姿を観て僕らは感動したりすると思うんです。自分もそういうアーティストを目指したいと思ってるんです。

―自分の不安を吐き出すように歌詞を書き始めたわけですが、今もその傾向は変わらずですか?

さきほども言った通り、僕は曲をたくさん書いて育ってきたわけではなく、自分の強烈な出来事にインスパイアされて歌詞を書き始めた人間なので、人に物事を伝えようっていう考えになったのは意外と最近なんですね。ずっと、自分が培ってきたものが崩れたことによる喪失感みたいなものから逃げるために曲を書いてきた。でも今回配信した「We’ll be fine」という曲は、主語が「I」じゃなくて「We」。今回のコロナ禍でパーソナルなことで苦しんでいる方はたくさんいると思うんですけど、いま起きていることはグローバルで大きなことなわけです。内容は「I」なんですけど、意識としては「We」。だから歌詞に関しても自分の中でちょうど変化が起きているところです。

ReN 「We’ll be fine」MV



―なるほど。

今って、ものすごくネガティブな方に引っ張られやすいと思うんですよ。ちょっと何か嫌ことが起きたりすると、みんなそっちに向かざるを得ないし、逆にそこをシカトすることすら良くないっていう気持ちにもなるけど、みんな思うほど強くないんですよ。嫌なことを見るだけで、精神的に相当ダメージを受けていると思うんです。自分たちが別のことで動いている間は大丈夫なんですけど、全てが止まった時に嫌なことが起きると、みんながそっちに引っ張られてしまう。嫌なことから目を背けないのも大切なんですけど、僕はそこだけにずっとstayするのは違うと思っていて。人によってはイージーに響くかもしれないですけど、「大丈夫」という言葉がすごく今必要だなと思って、歌詞の中で“大丈夫のひとことで強く生きれる気がする”“大丈夫のひとことが僕らの明日を照らした”と書きました。

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