ReNが語る、レースの世界で学んだこととシンガー・ソングライターの共通性

ポジティブな気持ちにさせることが自分のやるべきこと

―絶望を20歳で味わった人が言うから説得力がありますね。「大丈夫」が本当に大丈夫に聞こえるのは表現者として大切なことだと思います。絶望が全て血肉となって、表現されているのも琴線に触れました。

うれしいですね。でもこのタイミングなので、もしかしたらこの曲がスッと入ってくる人もいれば、何だよって思う人もいると思います。それがやっぱり今の世の中だと正直思っていて。どんなにつらい時でも、当事者じゃなければ分からない立ち位置があるんです。でも自分の曲が、人と人を必ず近づけるだろうと思っています。

―タイトルに出てくる「We」は、ReNさんの中でどれくらいの規模の人たちを想像してるんですか?

この曲を聴いた人が全員含まれると思います。曲に出てくる“You’ll be fine I’ll be fine Everything is alright ”っていうフレーズには、メロディと言葉が持つ自分なりの力があって、これが僕の心の中で流れるとすごくポジティブになれるんです。それがみんなのものになってもらえればいいなと。そういう意味で、僕が大丈夫なんだっていうことよりも、みんなで手を取り合って乗り越えていくから大丈夫だと、そんな風にこの曲を捉えて欲しいって思っています。

―音楽を奏でる意義や目的も少し変わりましたか?

今までは、自分の音楽がどうしたら人の心に届くか、どうすればみんなをポジティブにできるか、ライブを通しても、ずっと考えてきました。でも今回自分が思ったことは、やっぱり、自分が一番必要としてることだったり、自分に対して今一番欲しい言葉を歌うことが大切だって思ったんです。自分に向けて歌うことで、僕は同じ想いを持った仲間を探している気がします。

―音楽が“自分を表す場所”から“みんながいられる場所”に変化にしていると。

そうですね。だからそこを大切にしつつ、自分の居場所も魅力的な場所にしていきたいと思っています。僕のパーソナルな部分に共感してくれた人たちもライブではとにかく楽しんでほしいですね。

―コロナで延期になったツアーファイナルは9月23日に開催予定なんですよね。

現状はやるつもりで動いていますが、ただこればっかりはなんとも言えないので……。

―もうレースへの未練はないんですか?

未練はないです。なぜかと言うと、同期で頑張ってたヤツがF1に行ったり、チームメイトだったヤツが世界のレースの最前線で勝ち上がって戦ってるからです。そして……僕も自分の今の世界で、同じメンタリティで争っている気がしてます。だから彼らとは、いい意味でリスペクトし合えるんですよね。もちろんレースをやりたいなっていう気持ちはありますけど、悔しいとかうらやましいみたいな感覚は全くないです。むしろ行くべき人間が行く世界ですからね。だからレースの映像を見て、パワーをもらったりもしますよ。

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