世界で最も有名な覆面DJ「マシュメロ」をブランド化させた敏腕マネージャー

モー・シャリジはマシュメロを「この男は世界で一番有名なDJになったのにあのヘルメットを一度も脱いでいない」と言う(Rolling Stone)

マシュメロのヘルメットとは正体を隠す白いバケツ型の覆面だ。世界的に有名なDJ、マシュメロのトレードマークとなっているこのバケツは、去年スピリット・ハロウィン・ストアで一番売れたハロウィン衣装だった。そして、マシュメロのYouTube動画を見るユーザーの40%が13歳以下の子どもたちだ。

マシュメロが子どもに爆発的な人気を得ているのは、彼のビジネスチーム、つまりマネージャーのモー・シャリジとザ・シャリジ・グループのCOOクリスタ・カーネギーの戦略に負うところが大きい。そして現在のザ・シャリジ・グループはビジネスのターゲット層をさらに引き下げて、2〜4歳の幼児に広げている。7月10日の真夜中、「Mellodees」という新たなYouTubeチャンネルを開設。これは歌を歌うロボットが登場するアニメ番組で、対象年齢は2〜6歳だ。マシュメロ自身は1〜2度カメオ出演するかもしれないという程度だが、設定と音楽は彼の手によるものだ。

【動画】マシュメロが監修する幼児向け動画コンテンツ

シャリジとその会社は、昨年エレクトロニック・ミュージックと幼児教育の合体を試みており、この使命はCOVID-19によるシャットダウンによってますます重要な意味合いを持つようになった。「子どもたちが画面をみている時間の長さは過去最長だ」とシャリジがローリングストーン誌に語った。彼が言うところの「クリエイティヴィティとイノヴェーションを融合」させることで、彼の会社とマシュメロは「児童向けプログラムのギャップを埋める」ことを目指していると言う。シャリジのチームはマシュメロの「クールな姿」を維持したままで子どもに寄り添う新たな商品を開発したのである。

シャリジのビジョンに助けられながら、マシュメロは無名のアーティストから、あらゆる方面に広がったクロスプラットフォームなブランドへと成長した。白いバケツのマスクをかぶったマシュメロの本体は28歳のクリストファー・コムストックだが、その参謀となっているのがシャリジという30歳のカリフォルニア南部の低所得者用住宅が立ち並ぶ地区で育った男だ。

シャリジの両親は40年前にアフガニスタンからアメリカに移り住んだ。両親と一緒に住んでいた頃のシャリジはそれほど音楽を聴くこともなく、家の中でラップをかけることも許されなかった。「10歳ころにクーリオを聴いていた記憶がある。彼の曲に“one, two, three , four, get your woman on the floor”という歌詞があって、父親がそれを聴いていた俺に激怒したんだ。『お前にはそんな歌詞は聞いてほしくない!』ってね」と、シャリジが教えてくれた(しかし、父親に激怒されても彼はDMXのCDを隠し持っていた)。

親に隠れてヒップホップを愛し続けた彼は10代でレイヴ・カルチャーに夢中になった。最初に参加したフェスティヴァルはサンバーナーディーノで開催される「Nocturnal Wonderland」。このフェスに惚れ込んだ彼は趣味でDJを始めた。ターンテーブルのCDJ-1000を買うために金が必要になったシャリジは、地元の怪しげなバーと取引をした。ちなみにこのバーはあまりにも活気がなさすぎて、リアリティ番組『Bar Rescue(原題)』に登場したほどだった。このバーでシャリジはEDMナイトを企画し、バーのオーナーから3000ドル以上の売り上げを上げたら収益の50%をもらう約束を取り付けた。

Translated by Miki Nakayama

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