メンタルにも悪い影響を与える、現代社会におけるアイデンティティのジレンマ

適切なカウンセリングを受けることは、変化の激しい社会の中で自分のバランスを調整していくためにも有効ですので、カウンセリングがより身近なものになっていくことを期待します。同時に、私は「〜でこの社会を生き抜く」という類の言葉が必要となったり流行ったりすること自体、あまり良いことだとは思っていません。そうしたことを考えなければならないということは、どこかに「生き抜けない人」がいるということですし、それは社会に問題があるということでもあります。本来、誰かが生きていく上で何かの条件をクリアしなければならない、ということはないのです。

参照
(*1)「自分とは何かー『自我の社会学』入門」 舩津衛 恒星社厚生閣
(*2)「青年期における同一性の感覚の構造―多次元自我同一性尺度(MEIS)の作成」谷冬彦 教育心理学研究 2001.49.P265-P273
「モラトリアム人間の時代」小此木啓吾 中公文庫
「自我のゆくえ」 舩津衛 社会学評論 1998.48.4 P407-P418
「カウンセリングを語るー自己肯定感を育てる作法」高垣忠一郎 かもがわ出版



<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP
https://teshimamasahiko.com/






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