ウイルス感染の危険を覚悟で働く「買い物代行者」の悲しい現実

割りに合わない状況

パートタイムの従業員で、そのうち一部は今年2月、Instacartでは初めて労働組合に加盟した同社の店内ショッパーには傷病手当とCOVID-19ボーナスが支給される一方、フルサービス・ショッパーはInstacartのアルゴリズムの指示に従って、ごった返す食料品店からユーザーの家へ向かい、最低限の保障もないまま働いている。ウイルスにさらされ、周りにまき散らす可能性も大いに高く危険が多いが、見返りは少ないままだ。

フルサービス・ショッパーのマシュー・テレスさんは、アルゴリズムのせいでここ最近依頼が減っていると言う。「以前はInstacartで週に50件ぐらい、あるいはそれ以上こなしていました」とテレスさん。「今は平均1~10件に減りました。以前は週4~5日働いて、1000ドル稼げたんですよ。きつい仕事ですが、実入りは良かったんです」

シカゴ郊外で働いているテレスさんは、最近では週70時間まで働くことにしているが、今はせいぜい270ドル程度しか稼げない――受けた注文の総額のうち数パーセントと、チップを加えた額が彼の取り分だ。

「これじゃ食料も買えません」と彼は嘆いた。

避けることのできない矛盾が起きている。InstacartのCEO兼創設者、アプールヴァ・メタ氏が最近Mediumの投稿で、引く手数多の自社のギグワーカーを「家庭のヒーロー軍団」と呼んだように、同社のような企業がスタッフを祭り上げれば上げるほど、当のスタッフ本人たちは、この悲惨な状況下で自分たちの待遇がどれほどひどいものか、ますます声を上げるようになっている。Instacartの一部のショッパー――実際に食料品を買い出し、玄関先まで届けてくれる人々――には、そうした誤魔化しは通用しない。先日彼らは会社に抗議するべく、仕事を放棄し集団ストライキを敢行した。「会社は文字通り、我々の命を犠牲にして膨大な利益を上げている。なのに、我々には効果的な保護、十分な給料、十分な保障を与えるのを拒んでいる」 とストライキを主催したGig Workers Collectiveが参加を呼びかけた。

「他のショッパーやお客様、気にかけてくれる人々や団体に大変支持していただいています」と言うのは、Give Workers Collectiveの主催者ロビン・ペイプ氏だ。「以前はこうではありませんでした。今回の抗議デモが健康と安全を要求事項の第一に掲げていることから、より多くの方々が我々に賛同してくださっているんだと思います」

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE