アメリカ中で賛成の嵐「国民の生活が崩壊する前に一律現金支給せよ」

ー金利をほぼゼロにまで下げる、という連邦準備金制度理事会の決定には批判的でしたね。なぜですか?

ヤン:仮に私がウェイトレスで、勤め先のレストランがコロナウイルスのせいで閉店したとしましょう。ゼロ金利が一体私に何をしてくれるというんです? 銀行に行って、金を借りろとでも? 私には何の足しにもなりません。企業でも、労働者でも、大半の業界でも同じです。もし私が自営業者だとしても、かけずり回ってあらゆる可能性を当たって融資を得ようなんて思いません。資本にアクセスできる人はたいてい数百万ドル、あるいは数千万ドル、あるいはそれ以上の収入がある大企業です。金利を下げたからといって、平均的な労働者は何の影響も受けません。恐らく平均的な中小企業もそうでしょう。

ーあなたが提唱しているユニバーサル・ベーシックインカムについて、すでに行われている、あるいは試験運用されているところはありますか?

ヤン:ひとつの例はアラスカ州の石油基金です。もう何十年も多くの人々から支持されています。今ここでぱっと思い浮かんだのは、インドのとある民族の例です。彼らはもう何年もカジノの売上を配当にして世帯に分配しているんですが、お金をもらったグループとそうでないグループを比較してみると、健康や教育、精神医療や家庭内暴力が着実に、しかも大幅に改善していることがわかりました。今我々は危機の真っ只中ですから、何としてもこれをやるべきです。困っている人にお金を渡すんです。私が以前からこれを推してきた理由は、危機であろうとなかろうと、どんなコミュニティも救ってくれるからです。

ーこのようなUBI救済プランのツケを後になって払わされるのではないですよね?

ヤン:ミット・ロムニー上院議員は経験豊富なビジネスマンです。彼は、経済崩壊でどんな結果になるかよくわかっています。経済や社会が崩壊したらどれほどの代償を払うことになるのか?

ミットも知っている通り、人々に渡した現金はそのままトイレットペーパーや食料、Netflixの代金として支払われ、経済を循環していきます。お金は消えてなくなったりしません。経済活動で消費されるんです。使ったお金は、恐らく何倍にもなって手元に返ってくるでしょう。トリクルアップ経済は実在するんです。

ー最後の質問です。今も、将来的に公職に立候補しようとお考えですか? 以前、ニューヨーク市長選への立候補を口にされていましたが?

ヤン:それも可能性のひとつとして考えていますが、目下の目標は、1人1000ドルの緊急対策を議会で可決させること。正しい方向へ導くために、できることは何でもやっています。まさに今、あらゆる手を尽くしています。

編注:この記事は2020年3月16日、ローリングストーンUS版に掲載された記事を翻訳したもの。アメリカでは3月25日、連邦議会上院が経済支援策を賛成96、反対0の満場一致で可決。総額2兆ドル(約220兆円)規模の新型ウイルス対策における家計支援として、年収7万5000ドル(約825万円)以下の大人1人につき1200ドル、子供1人につき500ドルが直接支給される。

Translated by Akiko Kato

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