miletが語る歌の新境地、アジアでの経験とKing Gnuに思うこと

「Prover」のテーマは“人間讃歌”

―というわけで、早くも5作目のEPが出ますけど、今回はどんな作品にしようと思ったんですか。

milet:「Prover」と「Tell me」については、「この曲で押したい!」っていう強い気持ちがありました。この2曲は世界観も壮大だし、前面に出ないとおかしいなっていう。特に「Prover」はお気に入りで、自信のある曲ができたので、やっとこれを世に出せる!って感じですね。

―「Prover」の手応えは、具体的にどのあたりに感じてます?

milet:自分でもビックリするくらい歌詞も好きなんですよ。一文一文。「本当に私が書いたっけ?」って思うような(笑)。それくらい何度聴いても、同じ部分でグッとくる。サビ前のBメロの部分もそうだし、間奏部分のメロディとか、コーラスのところとか、あれよく作れたな!と思って。あそこは自分のイチオシです!

―これまでも壮大な曲はありましたけど、「Prover」は生命力が漲っているというか、堂々たるスケール感を備えた名曲だと思いました。

milet:曲のテーマも“人間讃歌”というか。生きることと死ぬこと、そういうことを全部詰め込んだ曲になりました。感情のどれか一部分を切り取ったというわけではない。本当にあらゆるものを詰め込んだ感じ。私自身もよくわかってないような生死の概念とかそういうものも、想像でしかないけど音にしてみたりして。容量がすごく大きい曲になりましたね。



―広大なサウンドになったのは、アニメシリーズ「Fate/Grand Order」(以下、FGO)のEDテーマとして作られたことも関係している?

milet:うん。それまでにアニメも観たりしてたけど、(原作の)ゲームもプレイしてみたりして。いろいろ話を追いつつ……。でも、実際に曲を書き上げるのは難しかったです。やっぱりシリーズも長いし、歴代の歌たちも大好きなものが多かったので、その個性を殺さずに生かしつつ、私の色も入れていきたいっていうのもあって……いろいろ考えましたね。

―この曲について、何か参照したものを挙げるとしたら?

milet:サウンドというよりは世界観について、「FGO」の歴代の歌だと、坂本真綾さんの「色彩」をずっと聴いてましたね。私、真綾さんのファンなんですけど、「色彩」が“朝”だとしたら、自分は“夜”みたいな曲を作りたいと思って。

―なるほど。

milet:アンサーソングではないけど、私としては「色彩」に寄り添ってみようと。あの曲こそFGOの世界だと思ったので、深い意図を汲み取ろうとしながら物語を繋げようと意識してみました。



―そうして完成した「Prover」、YouTubeではあっという間に200万回以上も再生されてますし、コメント欄も絶賛の嵐ですね。「鳥肌が立った!」と何人も書いていたり。

milet:嬉しいです、そんなふうに言ってもらえて!

―このミュージックビデオのために、「Prover」の歌詞に出てくる舟を作ったんですよね。それに乗ったmiletさんが、ワンカットの長回しで撮影されている。途中までは舟のなかでジッとしてるだけのはずなのに、どんどん絵が展開していくから目が離せない。

milet:うんうん。箱庭というか、狭い部屋から大海に出ていくような感じがしますよね。出来上がった映像もすごくて、CGも相まって綺麗でした!

―撮影現場はどんな感じでしたか?

milet:練習も含めると5、6回撮ったんですけど。最初のほうは私の動きがボロボロで……(苦笑)。というのも、(実際のセットは)後ろがグリーンバックで、カメラも左右から回り込むように動いて、舟も同時に動いていくんですよ。だから、どっちが正面かわからなくなって、自分も「はい、右回り!」みたいな指示に合わせて、舟のなかでクルクル回ったりして。それをワンカットで撮るという……。

―すごい緊張感だったとツイートしてましたよね。

milet:いやー、相当プレッシャーがありましたけど、やっぱり「Prover」の力ってすごくて。自分でも雰囲気に呑まれる瞬間があるんですよね。空間を感じるというか、音が身体の周りをグネグネ回るような感覚に陥るので逃げられない(笑)。それで感情に入り込んできちゃうから、内側から何かあふれ出てきてましたね。

―それはエモい話!

milet:エモいですよね。この曲は大音量で聴いたほうがいいです! 

―ちなみに私事で恐縮ですけど、このMVで監督を務めた荒船泰廣さんって、僕の大学時代の先輩で(笑)。

milet:え、そうなんですか。

―miletさんとも縁のあるMAN WITH A MISSIONのMVなども監督してますよね。荒船さんはお会いしてみてどうでしたか。

milet:すごく柔らかい人だし、アイディアも取り入れてくれるし面白い方だと思いました。少し不思議なところもあったけど(笑)。

―(笑)。

milet:Twitterで個性的ななつぶやきをしてたので、もっと面白いこといっぱい話せたかなって。おかげで荒船さんのことをちょっと知れたので、またご一緒できる機会があったら、もうちょっと挑戦的なこともできるかなと思ったりしました。

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