批評家に酷評されたブロードウェイ・ミュージカル、TikTokで熱狂的人気の秘密

ブロードウェイ・ミュージカル『ビートルジュース』(Photo by Matthew Murphy)



TikTokから劇場へ足を運ぶ若者が急増

「同世代の子はみんな、登場人物に共感できるって言ってる。みんな自分が場違いで、普通じゃないって感じているの」と言うのは、コスプレイヤーの19歳Foxberri。彼女が作った『ビートルジュース』のTikTok動画は、再生件数が数百万回にも上る。「私もいつもそんな気分だった」 ポップ・パンクやライオット・ガールの雰囲気が感じられる劇中の人物、リンダの代表曲「Dead Mom(原題)」は、Z世代らしさがぎゅっと詰まっている。パーフェクト氏曰く、10代の女の子が寝室で安いアンプで演奏している姿を想像したのが曲のヒントになったという。「いわゆる“ファック・ユー”ソングですね。僕も数々の“ファック・ユー”ソングで育ちましたよ」と彼は言う。

@foxberri.cosplay

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♬ Dead Mom - Sophia Anne Caruso, Beetlejuice Original Broadway Cast Recording Ensemble


2年前の春の初演以来、『ビートルジュース』は製作陣の予想をはるかに越えてみせた――興行収入という点でなく(大方のブロードウェイ作品がこれを基準としている)、ソーシャルメディアでの人気度という点でだ。どのプラットフォームでも、2018〜2019年シーズンのブロードウェイ・オリジナルキャストによるサントラアルバムの中で最多ストリーミング件数を誇っているし、トニー賞授賞式でのパフォーマンスを収めたYouTubeの動画は、250万回以上も再生された。

こうした人気の原動力となったのは、主に若い世代や初めてブロードウェイを訪れた観客だ。製作側が発表した2019年9~11月のデータによると、観客の54.95%がそれまで一度もTelecharge(ブロードウェイの公式販売窓口)でチケットを購入したことがないと回答した。また19~54歳が占める割合は70.79%で、大半のブロードウェイ作品の49%を大きく上回っている。実際は若年層にもっと偏っているという話も聞く。筆者も感謝祭前の水曜日に夜の公演を鑑賞したが、観客のほとんどがレンタカーを借りられる年齢をはるかに下回っていた。幕間には、『ビートルジュース』の代役の役者が客席にいた友人に挨拶しようと私服姿で出てきたところを、巻き毛の高校生のファンに見つかるというシーンにも遭遇した(代役の役者は、いささか面食らってはいたものの、礼儀正しかった)。

『ビートルジュース』はTikTokといったアプリでも大成功を収めた。「The Whole Being Dead Thing」や「Say My Name」「Dead Mom」「What I Know Now」といった楽曲を使った動画が何百万回も再生されている。「TikTokで話題になり始めた頃からものすごいことになっていきました」とパーフェクト氏も言う。



TikTokでハッシュタグ「#BeetlejuiseMusical」が使用された回数は延べ4360万回以上。おそらく動画クリエーターの多くは、ミュージカルも原作の映画も観たことはあるまい。その点で、2018年秋に『Heathers: The Musical(原題)』の1曲が大ブレイクしたのと似ている。「あの時は、作品とはかけ離れたところで盛り上がったような感じでした。子供たちは登場人物や曲のメッセージにハマっていましたが、必ずしもミュージカルの曲だと知っていたわけではなかったんです」とパーフェクト氏。『ビートルジュース』のコスプレ動画の閲覧回数が数十万件以上――ものによっては100万回以上――を誇るFoxberriも、TikTokユーザーから「『ビートルジュース』がそんなに好きだったわけじゃないけど、この動画を見てハマりました」というコメントが多数寄せられているそうだ。

Translated by Akiko Kato

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