なぜ日比谷野外音楽堂には自由な気風があるのか? 96年の歴史と未来を野音館長が語る

─これだけの歴史があるので、いろいろ変化してきた部分も多いと思うんですけど、最近でいうと客席の椅子も綺麗に変わりましたよね。

菊本:部分的な改修もやっています。来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、椅子を木製(ヒノキ)に変えたり、トイレも全部洋式化したり、あとはステージの床も綺麗にしました。来年4月からオリンピックが終わるまでは、野音をオリンピックのためのイベントの会場として使うという東京都の方針があって。それでリニューアルしましょうとなったんです。

─日比谷野音は公共の場所であると同時に、自由を尊重している会場だと思います。野音の歴史を振り返る中で、どうしてそういった精神が生まれていったと思われますか?

菊本:そこはアーティストサイドが作っていったと思うんですよね。90周年の実行委員の1人に、南こうせつさんがいて。記者発表会の時に「野音には自由な気風がある」ということを言っていたんですよね。野外ならではの開放感はあると思うし、公園の中にあるから、緑があって自然と触れ合えたりもする。あと、コンサートは夕方ぐらいから夜にかけてやるじゃないですか? 最後は真っ暗になっちゃうんだけれど、自然の演出みたいなものは野音でしか感じられないですよね。夕暮れから太陽が沈んできて、夜の暗闇に移っていく。都会のど真ん中でそんな演出でコンサートは他ではできないからね。基本的に、ここは公共施設だから、ある程度の決まりというかルールはあるんですよ。むしろ、普通の民間の方よりも厳しいかもしれない。その中でも、アーティストと会場の長い歴史の中で、風土と歴史とルールが作り上げられてきたんだと思います。

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