リンゴ・スターとデイヴ・グロール、伝説的ドラマー2人による対談

リンゴ・スターとデイヴ・グロールの対談が実現(Yana Yatsuk for Rolling Stone)


グロール:でもそれを聴いたことはなかったんだね。

スター:聴けば聴くほど、僕のことを思い浮かべてくれているのが伝わってくるんだ。(ジョンのふりをして)「リンゴ、これは君にぴったりだよ」って言ってくれてるみたいでさ。40年前に、彼が僕のことを思いながらテープを作ってくれてたなんて、考えただけで胸が詰まるよ(少し涙ぐむ)。問題がまるでなかったわけじゃないけど、僕ら4人はいい友達同士だった。僕は最高にイカした仲間に恵まれてたんだ。それだけに、悲しみは底知れなかった。ロスに戻ってからも、何も手につかなかった。

ジョージが亡くなったときもそうだった(涙をぬぐい、声を震わせる)。僕はすぐ泣いちゃうんだ、いい歳なのにさ。死を迎える直前、彼は苦しそうにベッドに横たわってた。でも娘が手術を受けることになってたから、僕はボストンに行かなくちゃいけなかった。「じゃあ、そろそろ行くよ」って声をかけると、彼はこう答えた。「僕も一緒に行こうか?」って。死の淵にいながら他人のことをそんな風に気遣える人なんて、一体どれくらいいるんだろうね。



ー アルバムに収録された「グロー・オールド・ウィズ・ミー」には、ポール・マッカートニーが参加していますね。

スター:うん、僕が頼んだんだ。ポールは僕のアルバム5〜6枚に参加してくれてる。お互いのタイミングが合うときに、スタジオに来てもらうんだ。彼は文句なしに素晴らしいプレーヤーだし、あの曲により感情的な深みをもたらしてくれると思ったんだ。当初ジャック・ダグラスはオーケストラを使おうとしてたんだけど、僕はカルテットで十分だって主張した。ジョンが書いた曲を僕とポールが演奏し、さらにジャックがいかにもジョージ・ハリスン的なギターリフを弾いてるんだから面白いよね。

ー デイヴ、あなたはカートの死後に彼の曲を何度か演奏していますが、それが彼の死を乗り越えることにつながったと思いますか?

グロール:彼の死を悼むことに、正解も間違いもないと思ったんだ。感情に振り回されるくせに、感覚は麻痺してしまってた。楽しかったことを思い出した次の瞬間、とても辛い出来事が蘇ってきたりした。あれからしばらくの間、俺は音楽から遠ざかってた。ラジオも一切聴かなかった。でも気づいたんだ、音楽は唯一心の傷を癒してくれるものなんだって。音楽を通じて、この悲しみと向き合おうと思った。それで俺は自分で曲を書き始めたんだ。

自分がよく知る人物が等身大以上の存在として世間から認識されるようになるのって、すごく複雑な気分なんだよ。インタビューの場で、そういう極めて個人的なことについて尋ねられることもね。身近な存在の死について、誰も進んで赤の他人に話そうとなんてしないはずだからさ。

スター:その通りだね。

グロール:「弟さんが死んでどう思いましたか?」とか「ご家族を亡くしてどんな気分ですか?」なんて、会ったばかりの人に尋ねることじゃない。しばらくはそういうのが辛かったけど、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。そしてそういう時に背中を押してくれたのは、やっぱり音楽だったんだ。それ以前にも何度か、俺は音楽をやることによって救われてた。

過去26年間で、ニルヴァーナの曲を演ったのはほんの数回だよ。俺は自分なりに一線引いてるつもりなんだ、残念だけどね。ロックの殿堂入りを果たした時と、2年ぐらい前にやったショーで演奏したくらいじゃないかな。ニルヴァーナの曲を演ると、すごく不思議な気分になるんだ。古い友達と再会したっていうのに何かが足りない、そういう感じさ。何年か前、俺とパットとクリス・ノヴォセリックっていうバンドの元メンバーに、ポール(・マッカートニー)を迎えて曲を録った時もそうだった。俺ら3人が一緒にやるのはすごく久々だったけど、まるで何のブランクもなかったかのようにスムーズだった。ダウンビートっぽいのをいくつかやったんだけど、クリスと俺が音を合わせただけでニルヴァーナのサウンドになった。絶対に俺たちにしか出せない音だよ。最初の20分間、俺はクリスとパットと一緒に音を出しながら、まるで夢を見てるような気分だった。でもある瞬間にハッとしたんだよ。「待てよ、ポールも一緒なんだった」ってね。

ー ポール・マッカートニーとスタジオ入りしてみていかがでしたか?

スター:彼は最高のベーシストさ。素晴らしく独創的で、誰よりもメロディックなベースを弾くんだ。

グロール:俺は彼と何度かジャムったけど、ビートルズとしての彼のイメージが強すぎるせいか、みんな彼のミュージシャンとしてのスキルに圧倒されてたね。特にベースを持たせたら、彼の右に出る人はいないよ。彼はマジで最高のプレーヤーさ。まぁ「ヘイ・ブルドッグ」のベースラインを聴くだけで、そんなことは明らかなんだけどさ。

スター:あれってどうやって思いついたんだろうね。

グロール:さぁね、彼は宇宙人なのかもしれないな。

ー あなた方はどちらも、超キャッチーなドラムパターンを生み出す達人です。フックを考えるのと同じ感覚なんでしょうか?

スター:(「カム・トゥゲザー」のビートを手で刻みながら)あれってどう思いついたのか、覚えてないんだよね。メンバーから聞かれてもそう答えてたけど、うまくハマったんだよね。ジョンもすごく気に入ってくれてたよ。

グロール:エアドラムは重要だと思う。そうすることで、ドラムの叩き方なんかまったく知らない一般人の感覚が何となく掴めるんだ。好きな曲を何気なく口ずさむのと似てるね。

名前は伏せておくけど、取材である人物からこう言われたことがあるんだ。「でもドラミングはソングライティングとは無関係でしょう」ってね。「何だと?ふざけんじゃねぇ!」て言い返してやったよ。俺は誰かから教わったわけじゃないけど、(「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」の冒頭のパターンを叩くふりをしながら)これがあの曲のイントロだってことは誰でも知ってるはずさ。ドラミングはソングライティングと同じくらい重要なんだ。テクニックを見せつけるだけじゃなくて、他の楽器と同じようにメロディックで音楽的になれる。「カム・トゥゲザー」のパターンを手で刻むだけで、それがあの曲だって分かるんだからさ。

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE