リンゴ・スターとデイヴ・グロール、伝説的ドラマー2人による対談

リンゴ・スターとデイヴ・グロールの対談が実現(Yana Yatsuk for Rolling Stone)


グロール:うん、わかるよ。全員が優れたソングライターのバンドにいたんだからね。

スター:苦労したよ。(「オクトパス・ガーデン」を歌って)「こんなのどう?」ってね。ヒヤヒヤもんだよ(笑)

グロール:定番のジョークを思い出させるね。Q:あるドラマーが発した、バンドをクビになる原因となった一言とは?A:「曲を作ったんだ、ライブでやろうぜ」

スター:間違いないね。曲を作ってメンバーに聴かせると、全員腹を抱えて笑い出すってことがよくあったよ。自分では気づいてなかったんだけど、前に書いた曲とそっくりだったんだ。

グロール:俺たちも出た『エド・サリバン・ショー』の50周年記念特番(2014年)では、あなたがプレイした「イエロー・サブマリン」がダントツのハイライトだったと思うよ。

スター:ふふふ、そうかもね。

グロール:あの曲の魅力は国境も世代も超えると思う。5歳になる子供と一緒に歌ってると心が通い合うのがわかって、45歳っていう年齢差を感じなくなるんだ。

スター:当時幼かった僕の子供にも、あの曲はウケが良かったよ。2歳とか2歳半とかだったけど、「イエロー・サブマリン」って口ずさんでた。孫がみんな揃って、僕の前であの曲を歌ってくれたこともあるんだ。「僕らみんなイエロー・サブマリンの中で生きてる」ってね。おじいちゃんの偉大さはみんな知ってるからね、って言われてるみたいだったよ(笑)

グロール:変な質問かもしれないけど、全員が潜水艦のエンジンルームにいることになってるあの中間部のレコーディングで、どんなことが印象に残ってる?

スター:『アビー・ロード』のリマスター版のリリースの関係で、つい最近アビー・ロードに行ったんだ。中に階段があるんだけど、あそこが僕らの溜まり場だった。僕はそこにある大きな扉を開けて、その中から大声で叫んだ。ジョンは「キャプテン、どうしましょう?」なんて言ってたよ。僕らみんな、とにかく大声で叫びまくった。エコーっぽく聞こえるのはそのせいだよ。狙い通りだったね。

『アビー・ロード』のジャケ写のこと、前にも話したっけ?当初は「エベレストの頂上でジャケ写を撮ろう!」「ハワイの火山がいい!」「エジプトのピラミッドで決まりだ!」なんてふうに、何日もかけて議論してたんだ。でも結局「もういいや、そこの歩道で撮ろう」ってことで落ち着いたんだ(笑)誰も着飾ろうともしなかった。あれは全部、当日のメンバーの私服だったんだよ。それが良かったわけだけどね。

グロール:愛はビートルズにとって普遍のテーマだったと思う。初期なんかは…

スター:全部ラヴソングさ。

グロール:初期は女の子のことを歌ったラヴソングが多いけど…

スター:「抱きしめたい」(原題「I Want to Hold Your Hand」)とかね。

グロール:もっと普遍的でスピリチュアルな意味での愛について歌うようになったのは、どの時点だったんだろう?

スター:67年頃、『リボルバー』の頃からじゃないかな。僕たちみんな大人になりつつあったし、いろんな変化を経験してたからね。ドープも吸ってたし!いろんなことがクリアになって、スタジオでのスキルも身についてたから、自分たちのヴィジョンを形にしていったんだ。

グロール:優れたドラマーって、8小節聴けばそれが誰のドラムかわかると思うんだ。目指すべきゴールはそこだと俺は思う。そのカギは独学ってことじゃないかと思うんだよね。自分のやりやすいようにやることで、いろんな制限から解放される。俺たちもそうだけど、バンドをやってるやつなら誰でも、「そこでリンゴっぽいフィルを入れてくれ」って言ったことがあるはずだからね。

スター:君からそう言ってもらえるのは嬉しいね。理論武装しなかったっていうのは、確かに重要だったかもしれない。ドラムキットは必ず右利き用に組まれてたしね。僕は左利きだけど、気にせずそのまま使ってた。左利きとして一番やりやすい方法でやってたら、それが自分なりのスタイルになったんだ。フィルを入れる時に若干間が生まれるんだけど、それが個性になったわけさ。右手を使うのは何かを書くときだけなんだ。ゴルフも左手でやるしね。

グロール:(笑って)そういう変わり種のことを指すスラングがあってもいいのにな。

スター:「知ってるか、リンゴは左利きのゴルファーなんだぜ」「マジかよ!彼は何もかも諦めたかと思ってた」

(2016年の)グラミーのプレパーティーでは君に驚かされたよ。誰と一緒にやったんだっけ、ベックだったかな?

グロール:そうだよ。

スター:君のスタイルのことはよく知ってるつもりだからね。(息子の)ザックには(ドラミングにおいては)全部叩こうとする必要はないって言ってるんだ。君がやってるようにね。でもあの時、君のストレートなプレイを初めて聴いて驚いたよ。鮮やかだった!

グロール:ありがとう、リンゴ。嬉しいよ。

スター:こういうのを予想してたからね(手で性急なリズムを刻む)

Translated by Masaaki Yoshida

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