グロール:ドラムキットの中で、もしかしたらハイハットが一番表現力に富んでるんじゃないかな。オープンとクローズだけじゃなくて、ダイナミクスを生み出せるし。リンゴ・スターといえばハイハットの名手だけどさ。
スター:スラッシュ打法のことか! あれって誰が名付けたんだろう?
グロール:わかんない。プロシュート(極薄生ハム)を切ってるみたいだよね。
スター:当時はあれがイケてたんだよ。
Yana Yatsuk for Rolling Stoneグロール:ビートルズに入る前、ヴォーカルをしたことはあったの?
スター:あぁ、ロリーのバンドで歌ってたよ。「Watch Your Step」と「Alley Oop」で歌ってるのは僕さ。ドイツの人はみんな「Spielen ‘Alley Oop」って歌うんだ。ちょうどその頃ドイツでドラッグが流行り始めてさ、よくやったよ。もちろん酒も浴びるほど飲んだけど、スピードをやった時は一晩中演奏したもんさ。
グロール:想像がつくよ。何セットくらいやったんだい?
スター:最初のうちは3セットだった。Bruno Koschmideはクラブを2つ持ってて、ロリーのバンドではKaiserkellerで、ビートルズではBambi Kinoでプレイした。でもBambi Kinoが閉店しちゃったから、その後はビートルズもKaiserkellerでやるようになった。週末には2バンドで12時間っていうマラソンセットをやってて、バンドは互いにしのぎを削り合ってた。これぞロックンロールって感じだったな。
“「イエロー・サブマリン」の魅力は国境も世代も超えると思う。5歳になる子供と一緒に歌ってると、45歳っていう年齢差を感じなくなってくるんだ。” ー デイヴ・グロールグロール:(ヴォーカルの経験について聞いたのは、)ドラマーがヴォーカルを務めるっていうアイディアを広めたのは、実はあなたのバンドだったんじゃないかと思ったからなんだ。間違ってるかもしれないけど。その前からそういうバンドっていた?
スター:いなかったね。僕はロリーのバンドで歌ってたから、ビートルズで歌うことにも抵抗はなかった。僕が初めてビートルズのメンバーとしてレコーディングした2曲は、カール・パーキンスの曲だったんだ。僕はああいう肩の力の抜けたロックが好きで、そのうちにカントリーとかも聴くようになった。そのうちに僕がヴォーカルの曲を録ったり、自分で曲を書くようにもなった。不思議なことに、僕はバンドが解散してからソングライターとして腕を上げたんだけどね。