トラック・メーカーとしてのリサクリス
-前作『Akasaka』でトラック・メーカーとしてのリサクリスはある程度完結したと思いますか?
うーん、完結したのかな〜。そこまでは思っていないんですけど、すこしはあるかもしれない。だからこそ生の音に向かえたし。
-前作で思い描いていた理想を具体的に教えていただけますか?
あの時はどう思ってたのかなあ……とにかくその時には『このサウンドが正しい』と思っていたから、とにかくそれを完結させようとしていました。打ち込みを聞いてほしいって感じでしたね。あとは、重なるメロディ。歌詞読んでもらうとわかると思うんですけど、音楽のテーマが壮大なんです。
-たしかに、リサさんの音楽に浸っていると、精神の中に宇宙が広がっている感じがしますよね。内面のミュージックというか。
そう、それを感じてほしかった。
-内面のミュージックという点で、崇めている存在はいますか?
あの時は、オウガ・ユー・アスホールをめっちゃ聴いていました。今はRADWIMPSなんですけど。
-お、ちょっと意外ですね。彼らのどこにグッときたんですか?
歌詞が半端ない。野田(洋次郎)さんは本当に一途な人なんだと思います。曲自体も、ぜんぶ打ち込みかと思うくらい細かく作られていて。高校生の時はそのすごさに気づかなかったけれど、『天気の子』を観て、ヤバイなと。私は自分のバンドではあまり打ち込みを使うべきじゃないって思ってたんですけど、RADWMIPSみたいに使えばいいんだって。だから、今回のEPにはオウガとRADWMIPSの2つの要素が入っていると思います。
-では、よく聴いていた海外のバンドは?
10代の頃は、プライマル・スクリームとナイン・インチ・ネイルズですね。
-すごくよくわかります。まさに、ここにもヒリヒリとしたサイバー・パンクが鳴っていますよね。これまでリサクリスさんは一人で作業することが多かったと思うんですが、今バンド内で曲作りはどのように行なっているんですか?
最初にメンバーから各々の表現を集めて構築して、脱構築します。
-その脱構築のプロセスについて詳しく教えてもらえますか?
えっと、日々の自分の進化に沿って……つまり1週間後の自分の方が今の自分より絶対にイケているから、その時点で要らないと思ったものは削っていく、っていうことですね。そのためにスタジオとか部屋で一人になって、曲を死ぬほどリピートするんです。そこで異なる次元を感じたものだけ残す。自分が大事にしているヴァイブスだけはよくわかるから。