BiSHサウンド生みの親、松隈ケンタが語る「進化」と「福岡移住」の意味

SCRAMBLES代表、松隈ケンタ(Photo by Takuro Ueno)



BiSHの音楽で目指していること

─『CARROTS and STiCKS』を聴いて、今のお話を伺うと、BiSHってこの先まだ10年ぐらい余裕で活動できそうだなと思いました。

松隈:そこは目指したいですよね。売れることより、続けることの方が難しいので。ある程度ちゃんと売れているレベルで続けていきたい。普通に考えると、楽曲を大きく変えるためには、スタッフや作曲家を変えていくのが広がりに繋がるじゃないですか。その点からいうと、コ・ライティングというスタイルに加えて、アレンジャー、トラックメイカー、ギタリストまで含めて、一貫して制作ができる環境にあるので、だからこそ新しいものを出し続けられる。そこは今後も目指していきたいところではありますね。


Photo by Takuro Ueno

─ちなみに、松隈さんが福岡に移住してちょうど1年くらいだと思うんですけど、東京と福岡を行き来する生活はどうですか?

松隈:もう最高です。生きていてよかったと思えるレベルでいい影響になっていて。一般の方からすると、作曲家とサウンドプロデューサーって同じように見えると思うんですけど、サウンドプロデューサーって音楽制作の全体を見るのが仕事なんですよ。僕の場合は、ドラム録りからベース、ギター録り、ミックスまで全部立ち会っているので、むちゃくちゃな生活だったんです。例えば、午前11時から夜11時まで働くシフトを1週間続けるとか。しまいには同じ日にギャンパレ(GANG PARADE)とBiSHのドラムを録っていたりとか。脳みそがぐちゃぐちゃになるんですね。そういう意味でパンク寸前なのに、取材が入ったり、社長業もあるし。

─福岡に移住することでその忙しさをどう改善されたんでしょう?

松隈:そういう意味でいうと、作曲家としての松隈はスパッと福岡に行っちゃったんですよ。東京で仕事するときは、2週間サウンドプロデューサーしてきまーすって切り替えて出稼ぎに行くようなイメージ。東京でレコーディング、ミックスをして取材を受けて、福岡に帰ったら誰も追っかけて来ないので、子どもと遊んで曲を作る。自分の場合、そっちの方がクリエイティブになれるんです。作曲家とサウンドプロデューサーってところを分けられるのが、一つよかった点です。もう一ついいところは、福岡からWACKや日本の音楽業界を見れること。東京にいて渋谷で宣伝トラックが走っているのを見ると、実際にお客さんがついていなくても売れているように見えちゃうじゃないですか。福岡でラジオをやっているんですけど、隔週でFM福岡さんに収録に行くと、宣伝キャンペーンで東京からいろんなアーティストがスタジオにたくさん来てるんですよ。そういう場にいると、誰が本当に売れているのかがものすごく見える。ぼやっと日本全体が見えやすくなった感じがして、これは武器になるなと思いましたね。

─単純に、物理的な移動は大変じゃないですか?

松隈:みなさん福岡は遠いと思われるんですけど、福岡って空港と街の近さは世界一と言われているので。渋谷から2駅離れた三茶あたりに空港があるみたいな感じなんですよ(笑)。離陸の1時間前に家を出れば、そのままぴゅーって乗れるので、普通に朝起きて10時ぐらいの飛行機に乗って昼からの会議とか、レコーディングには間に合う。地方に住むことを考えてる他のいろいろな商売の人も、福岡はおすすめです。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE