ボブ・ディラン新ドキュメンタリー『ローリング・サンダー・レヴュー』関係者が語るその裏側

スコセッシがようやく本作に本腰を入れて取り組むようになった約2年前には、ディラン本人がインタビューを受けている。「スコセッシは他の長編映画を先に完成させなければならず、その他にも幾つかエキサイティングなプロジェクトを抱えていました」情報源の人物はそう語る。「本作は長い時間をかけて、少しずつ制作されていったわけではないのです」(『ノー・ディレクション・ホーム』では、スコセッシはディランのチームから渡された映像素材を自由に扱うことが許されていた)

アーカイブ映像にはJacques Levyやミック・ロンソン等、既にこの世を去っている人々もわずかに登場しているが、本編は彼らのことを深く掘り下げようとはしない。「最近ではGoogleがあるので、気になる登場人物についてはエンドロールで名前を確認し、ウィキペディア等で調べればいいだけのことです」情報源の人物はそう話す。「それはマーティーのやり方ではありません。彼はあのツアーを現代的な文脈で捉え直すことで、決して風化しないものへと昇華させようとしたのです。その試みは見事に成功したと私は感じています」



過去のディラン関連のプロジェクトはPBSもしくはHBOで公開されており、『ローリング・サンダー・レビュー』はNetflixと組んだ初の作品となる。「DVD市場と小売店が死に絶えつつある一方、Netfllixであれば世界中の人々が作品を自宅で楽しむことができます」情報源の人物はそう話す。「インドのシロンという村では、毎年ボブの功績を讃えるお祭りが開催されています。Netflixがなければ、そこに生きる人々が本作を観る機会はなかったかもしれません」

本作に隠された秘密について多くを明かさないディランのチームは、視聴者が本作が繰り返し観てくれることを期待しているという。「何度か観れば、隠された様々なメッセージが見えてくるでしょう」情報源の人物はそう話す。「ドキュメンタリーの解釈は人によって異なるものです。本作のどういった部分に魅力を覚えるのか、視聴者の方々が独自の考えを持ってくれれば幸いです」



Translated by Masaaki Yoshida

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