ボブ・ディラン、携帯撮影の観客に激怒し公演途中終了

2012年のボブ・ディラン

ここ数年「ステージの写真撮影禁止」を強く主張してきたボブ・ディラン。先日のウィーン公演でついに堪忍袋の尾が切れ、「演奏か、写真か、どちらかだ。わかったか」と観客へ向かって一喝。演奏の途中でステージを後にしたため、公演は途中で終了するという事態となった。

ボブ・ディランはここ数年、ファンに「ステージの写真撮影禁止」を厳しくルールづけしている。しかし稀に、セキュリティが止めに入る前に、ファンが携帯で数枚写真をとってしまう事例が見られていた。火曜の夜、オーストリアのウィーン公演で「風に吹かれて」の演奏中、ボブはついに堪忍袋の緒が切れ、演奏を止めてオーディエンスに勧告することに。「写真を撮るか、撮らないか選べ」と怒りを露わにし、「演奏を観るか、写真を撮るか、どちらかだ。わかったか」と勧告した。

それより前にもマイクを通し、似たようなことを話していたボブ。怒った様子で後ずさりすると、ギターモニターにつまずいてあわや床に衝突しそうになる。その後彼はバンドに近づき、ポージングのような動きを見せると、次の楽曲「悲しみは果てしなく」の演奏を短縮。ボブはそのままステージを後にし、バンドはこのツアーにおいてライブの終了時に演奏していた「親指トムのブルースのように」のインストゥルメンタル・バージョンをプレイ。公演は幕を閉じた。

これは、しばらくの間オーディエンスに対する言葉を発していなかったボブが、重い口を開いた最初の出来事となった。観客が彼の話す言葉を聞くことができるのは、バンドを紹介する時のみだったが、それすらも約2年前に辞めていたのだ。彼のほとんどのショウにおいて、開演前に写真禁止である旨がアナウンスされる。ニューヨークのビーコンシアターで、昨年、フラッシュライトを持った係が通路を歩き回り、携帯電話の使用者を発見した際は、ライトで照らすという対応が取られた。そして繰り返す違反者には、退場措置を促していた。

ディランはここまでのことはしないが、ジャック・ホワイトとクリス・ロックは、密閉されたバッグの中に、厳重に携帯電話をしまい込んでいるオーディエンス以外は、会場に入ることを拒絶している。

現在行われているディランのヨーロッパ・ツアーは、5月7日に行われるスペイン、ヴァレンシア公演まで続く。その後約6週間のオフを取り、アイルランドはキルケニーで行われる、ニール・ヤングとのダブルヘッドライナー・ショウを含むツアーに向かう。このツアーのチケットを持っている皆さんは、携帯電話をポケットの奥底にしまい、決して取り出さないで欲しい。怒ったボブ・ディランは恐怖の光景でしかないのだから。


Translated by Leyna Shibuya

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