[ALEXANDROS]の強度を支える白井眞輝「ギターが減っても、その中で主体性を持って何ができるか考える」


今の時代におけるロック・ギタリストの在り方

ー白井さんの中でニューアルバムの制作の過程で明確に何かスイッチが切り替わったんですね。これまではメンバーとして、自分の立ち位置をサウンド面を中心にいろいろ、考えることがたくさんあったと思うんですよ。最近の[ALEXANDROS]のサウンドはもちろんギターロックもありますけど、打ち込みや同期が多用されている音も増えてきていて。

そうですね。どうしても上モノの楽器なので、別の上モノが乗ってくるとやみくもに弾いたらいいということではなくなるし。でも、それはただの変化の一つであって。今までと違う部分を楽しく捉えられたらいいというだけなんですよね。もちろん「この曲はミニマルすぎるから、もうちょっと足さない?」って「うーん?」って思う瞬間も正直ありますけど(笑)。でも、洋平自身が曲を作った時点でビジョンがある以上、それを侵してまで主張するのはなんか違う気がするし、一番曲のことをよくわかってるのは洋平なんでね。「こういうフレーズ思いついたんだけど、入れてみるのどう?」って聞いてみて、それが通るときもあれば、通らないときもあるってだけの話ですよね。洋平が作詞・作曲兼リーダーである以上、僕らも主体性を持ってそれぞれにやって言ってるんですけど、彼にやっぱり引っ張っていてほしいところはあるんで。それプラスアルファで自分にどれだけできるのかという話ですよね。だからギターが減ってきたのが彼の今のモードであればそれを支持してそこで何ができるか考えようかなっていう。

ーなるほど。それは、ライブにおけるアレンジメントでも同じですか? この間のライブでは「SNOW SOUND」みたいな曲でも、ギターがすごくカッコいいアレンジになっていましたけど。

CDの音源には入ってなかったけど、洋平にここ弾いてとか言われるケースが多いですね。逆に「(CDで)あれー、これ弾いてなかったっけ?」っていうときもあります(笑)。そういうベクトルで音楽をもう聴いてないのかもしれないですね。「弾いてないんだったら、あ、じゃあ、ここのフレーズ弾いてよ」みたいな細かいやり取りもしました。4人で再現するにはミニマルな曲もあるとは言っても、音数はまだまだ多いので、そのへんはフレキシブルに。

ーどのくらいの期間、アメリカにはいらしたんですか? 海外でのレコーディングの方法論がサウンド面を考える上で影響を及ぼした部分ってありますか?

細切れなんですけど、トータルしたら2カ月ぐらいですかね? ニューヨーク・ブルックリンのスタジオでやってたんですけど、機材の揃い具合とか環境面では正直、日本のほうがしっかりしてるんですよね(笑)。でも、海外の有名ミュージシャン達も、こういうところで録っているんだろうなって思うと、逆に励まされましたし、こだわるポイントが日本とはちょっと違うんだろうなという感じは受けましたね。


Photo by 河本悠貴

ー今回のアルバムの楽曲の音はどれも極度にポップなんだけど、同時に歪なほどデッドでザラザラとした質感のある奇妙なサウンドで。こういうバランスのバンド・サウンドって今、あんまり他を見渡してもあまりいない感じじゃないですか?

おっしゃっる通りで。今回ザラっとした雰囲気の曲が多くて。洋平が今そっちがやりたかったことなんだろうなっていう感じですね。いま流行ってるサウンドっていう部分でいうと、「明日、また」とか「SNOW SOUND」っていうのはけっこう近いと思うんですけど。あれも実験的に取り入れてやってる感じですね。それを経た上で、今年録った「Mosquito Bite」とか「KABUTO」とか「LAST MINUTE」があると、どちらかというと「明日、また」とか「SNOW SOUND」のほうが異質な実験作で、そのほかの曲のほうが今回やりたかったことに近いのかな。

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