[ALEXANDROS]の強度を支える白井眞輝「ギターが減っても、その中で主体性を持って何ができるか考える」


色気があるギタリストが好き

ーハード・ロックをベースにしながら、どこかパンクやガレージの匂いもあってっていう、ざらりとした質感の曲と、打ち込みでポップな楽曲やバラードが同居することでいろんな表情がアルバム全体を通してあるというか。ギターのレコーディングの技術的な面で印象的だったことはありますか?


向こうのやり方として、録ってから音を作るというのが多くて。リアンプしたりとか、ソフトウェア上のシュミレーターで音を加工したりとか。そういう後からの作業にかなりこだわりました。日本だと、録り音にマイクの立て方から何からとにかくこだわって「あんまり、後からいじらないで」ってミキサーさんにいうパターンのほうが多いですけど。アメリカの場合はアンプとかエフェクターの種類には、あんまりこだわりがないようで。録音してから、みんなでまずとりあえず聴いてみて「もうちょっと、ここ変えたいよね」とかディスカッションして、一つ一つ作っていきました。

ー「ギターを今、どう弾くのか」ってけっこう、大きな命題だと思うんですよ。でも打ち込み全盛の時代になって、ギターのオーセンティックなサウンドが回帰しつつある感じもしたりして。今回のアルバム『Sleepless in Brooklyn』では参照点にしたアーティストや作品だったり、どういうプレイや音にしたいというものはありましたか?

ギタリストって今の時代いろいろなスタイルがありますよね。シンガーでギターを持って歌う人でも、エド・シーランみたいな人もいればブルーノ・マーズみたいな人もいるし。どこにもギター・サウンドは入っているんですけど、80年代のハード・ロックや商業ロックがもはや全盛期を過ぎて爛熟している頃のようにギターが全面に出る音楽もなくなってきて。The 1975とかもギターがけっこう前にいるけど、シーケンスの音に溶け込むような音作りをしていて。あれもきっとリアンプを用いた音作りなんですよね。ああいうやり方は時代にフィットしているなって思います。でも、その反面、自分はやっぱりアンプから出てくるゴリっとした音が好きな部分もあるにはあるので。「Mosquito Bite」とかはその二つの要素がうまくミックスできたかなって思ってます。リフがシンプルで、聴き取りやすく、かつ弾きやすいので、ロック・キッズにもウケると思ってます。ガンガンコピーしてほしいですね(笑)。

ー白井さんは、かねてから浅井健一さんや、ジョン・フルシアンテとか、ああいう「色気があるギタリストが好きだ」っておっしゃってましたけど。そのビジョンに変わりはないですか?

そうですねー……基本的には昔から変わらないですかね。ただ、洋平が変化を好む人なんで、自分の好きなものだけを実直に追いかけていてもバンドとしては変わっていかないので。今はわかりやすく多くのサウンドを取り入れていかないといけないと思ってますね。テクニックでもメンタルの部分でも。でも、やっぱり魅せ方って大事なんですよ。特にスタジアムをやって思ったんですけど、細かく音楽的なことをやるのってスタジアムだと伝わりづらいなって。だったら大技で、バンバン弾いたほうが見栄え的にも音的にもカッコいいって思ってもらえるのかなぁ……って、思ったりはしてます。

ー最近、聴くようになったものは何かありますか? ギターに限らず、アーティストベースで。

イマジン・ドラゴンズはライブも行きましたし、すごく気に入って聴いてますね。あとは、フュージョン系の黒人ギタリストのジョージ・ベンソンとか。フュージョンとかジャズ、ソウルのギターのノリって今の音楽に求められてるんじゃないかなって。でも、聴いてるときはそんなに深くは考えてなくて、単純に「これカッコいい~!」って聴いてますね。

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