[ALEXANDROS]の強度を支える白井眞輝「ギターが減っても、その中で主体性を持って何ができるか考える」


「合わせない」ことが自分の強みになる

ーずっと[ALEXANDROS]は「世界的なロックスターになる」って夢を掲げてきたじゃないですか? 実際に海外でのレコーディングを敢行して、本格的にその一歩を踏み出すことになって。これからバンドとして、どんな活動をしていきたいのか、今の時点での答えみたいなものってありますか?

そんなに構えてないですね(笑)。何事もトライ&エラーですかね。とりあえず思いついたらやって、失敗したら何が原因だったのかを考え直すのを継続していくだけなんで。だから今回のアメリカツアーもいろいろ考えていますけど、僕たちアメリカでライブをやったことないんで、わからない、体験したことないことを余計に考え過ぎても仕方ないというか。セットリストもどんなライブでもお客さんの反応によっては、変更していくだろうし。準備ばかりしていても、まずは行ってみないことははじまらないし、やらないことにははじまらないので。今回、スタジアムでやってみて、その結果、すごく得るものがあったし、単純に楽しかったんです。次は「東京ドームで……」みたいな目標もできた。だからなんでもトライして自己実現していくだけかなって。そこにあまり変な気負いは必要ないと思ってるので。

ーでも、さっきも言いましたけど、いまロックンロールってポップ・ミュージックのシーンにおいてメインの音楽ジャンルではないじゃないですか? その中でロックの信奉者として頂点を目指すというのは、なかなか勇気のあることですよね。ご自身として迷いや不安ってないんですか?

個人としては、さっき言ったようにないですね。「やるだけ」って感じで。バンドとしても、今は逆に「ロックやってるバンドがいないからラッキー」ってくらいじゃないですか? コールドプレイとかは近いところにあるような気がしますけど。

ーでも、コールドプレイはまだロックンロールに力があった時代に築き上げ、頂点に立ったという実績があるわけで、[ALEXANDROS]は逆境の中でチャレンジしていかなきゃいけないというディスアドバンテージがあるわけですよね。

それは、もしかしたらアメリカでそういう異ジャンルの人が参加してるイベントに出たりとかしたときに身にしみて分かるのかもしれないですよね。でも現時点では正直、実感できてない。だから、気負っていない。やってみるだけですね、やっぱり。

ーそれによって、プレイって変化したりするもんなんですかね。ちょっと違うかもしれないですけど、例えば、憧れのジョン・フルシアンテと対バンなんてこともあるかもしれないじゃないですか。

それでも、やることはそんなに変わらないんじゃないかなぁ。逆の立場だったら、別になんとも思わない気がするんですよ。フルシアンテでも、エリック・クラプトンでも、彼らは彼らの演奏をすると思う。さっきと言ってること、少し違いますけど、「変わらない」ってことがすごく大事なことだと思うんですよね。合わせようとすればするほど、負けちゃう気がするので。


Photo by OGATA for Rolling Stone Japan

ー自分自身と対話して自己分析していくことが大事で、他者に過剰に合わせていく必要はないと。

俺が急にゴリゴリの黒人ブルースみたいなフレーズ弾いてたら「あれ、この人、もしかして練習してきたのかな?」ってオーディエンスも思うだろうし(笑)。まあ、そもそもそういうレジェンド達には十分影響されてますし、新しいものも自分に合っているものは自然と取り入れていくんじゃないですかね。それこそ、さっきのアメリカナイズの精神ですよね。あんまり人のことは気にしない。

ー考えてみれば、[ALEXANDROS]って昔からそういうバンドだったんじゃないですか? 他人やシーンのことを気にしない、孤高の存在というか。もちろん現実的な部分はきちんと踏まえて闘ってきたとは思うんですけど、自分たちの信念に基づいて選択してきた結果が今というか。

本当にそうですね。2人が既に海外経験者だったというのもありますし。俺と庄村も、どっちかというと彼らの考えに近かったんだなって。外国人っぽいメンタリティのやつらが集まったバンドなんですよ(笑)。だから、アメリカに行って、すんなり現地の人たちの物の考え方が受け入れられた。きっと、その空気感がダメな人はダメだろうなって思いますしね。

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