RADWIMPSインタビュー「野田、桑原、武田が語るバンドの歩みと現在地」

RADWMIPS:左から武田祐介、桑原彰、野田洋次郎(Photo by OGATA for Rolling Stone Japan、Styling by Daisuke Fujimoto、Hair and Make-up by Asami Nemoto)



アンチテーゼを掲げるだけではもうダメ

ー『ANTI ANTI GENERATION』は、最後「正解(18FES ver.)」で締めくくられていて。これはNHK『18祭』のために書き下ろした楽曲であり、実際あの場で1000人の18歳の人たちと歌ったものがそのまま収録されています。『18祭』は、RADWIMPSにとってどういう経験だったと言えますか?


武田:すごかったですね。普通に過ごしていたら18歳の子たちと出会うことって、そんなにないので。

野田:いかがわしいことがない限り? くわ、大丈夫だよね?

桑原:うんうん(笑)。


Photo by Takeshi Yao

ーやばいやばい、パパラッチが来ちゃう(笑)(9曲目「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」ではパパラッチのことを歌っている)。


武田:しかも18歳の子たちが1000人も集まって、同じ楽曲を作り上げるというのは、すごく大きな体験で。あそこにあった熱量は、本当にあの場でしか体験できないものだったし、あの場にいれたことを今後も誇りに思えると思います。しかもそれがアルバムに入るところまで来るっていうのは、すごいなって。

桑原:一生に1回の体験だったし、本当にやってよかったなと思いましたね。もう1回やるってなっても、あの感動は生まれないなと思っていて。

野田:でも打ち上げで、「もう1回やってくださいね」って言われたよね。

桑原:言われたね。

野田:「同じ曲でいいですか?」って俺言ったもん。「この感じはもうできないですよ」って(笑)。

ーあの経験を通して、下の世代に対する意識が強まった部分もありますか?

野田:うーん……。正直、15歳からバンドをやっていて、このメンバーとは18歳からやっていて、バンドをやってるとそんなに景色が変わらないなとは思っていたんですけど。

武田:まあそうだね。

野田:スタジオで曲作って、とか。あまり変わらないと思っていたんですけど、意外と歳取ったんだなとは思って。生で18歳を見ると(笑)。

桑原:ああ、18歳は質感が違うからね(笑)。

野田:質感って(笑)。でも、変わった部分にも、変わらない部分にも気付かされました。18歳って、迷いのなかにいる年齢だと思うんですよ。ゾッとするくらい人生って恐ろしく長くて怖いなとか、自分って何もないんじゃないかと思って絶望する感じとか、世界にとって自分なんてなんでもない存在なんだなと思って自分の小ささに怯える感じとか。三十何年生きているのとはわけが違って。でも、ビクビクしながらも、「何かしたい」っていうあのエネルギーは、すごいなと思いましたね。

ーそういった10代とか下の世代に対して、何かしてあげようという気持ちが増えた部分もありますか?

野田:いや、「してあげよう」って感じではなかったですね。一緒に何かを歌いたい、表現したいと思って歌うんだったら、彼らと俺らの共通項となる言葉を歌いたいと思ったし。自分たちと一緒だなと思える最大公約数として「万歳千唱」と「正解」の歌があって。結局、生きてる年数は十何年しか変わらないので、まだまだ僕らも迷いのなかにいるし、だからこそ僕から言える言葉を歌いたいなと思っていました。

ー「正解」で歌われている、自分にとっての正解を探すことって、若いときだけの悩みじゃなく、30歳を過ぎても続いてしまいますよね。

野田:そう。あの番組を見て、上の世代の人や同世代の人も反応してくれたのがすごくうれしかったです。

ー今回のアルバム・タイトル『ANTI ANTI GENERATION』という言葉の奥にある想いを聞かせてもらってもいいですか?

野田:アンチテーゼを掲げる世代って、どの時代にもあった気がしていて。いろんなアンチテーゼが常にあって、音楽が担ってきた役割もいっぱいあると思うんですけど。でも、アンチテーゼを掲げるだけじゃもうダメなんだなって思ったというか。それで何がよくなったんだろう、社会の仕組みの何が変わったんだろうと思って。いろんな軋轢をいまだに感じるし。アンチテーゼを掲げるだけじゃ芸がないというか、変える仕組みにはならないんだなと思っているんですよね。なので俺なりのスタンスとして、「ANTI GENERATION」に対するアンチっていう。俺は、ただアンチテーゼを言うだけの思想とか音楽からは離れようと思っているし、自分なりの新しい仕組みとかスタンスを作っていきたいと思ってこのタイトルにしました。

ーアンチテーゼを掲げているだけでは何も変わらないと思ったのは、野田さんの年齢が上がって感じるようになったことなのか、それとも時代のあり方から感じ取ったのか、どちらですか?

野田:なんとなく、僕らのこの時代の空気って、それがある気がしていて。もう今の若者は気付いているんじゃないかな。学生運動なんてほぼ起こり得ないし。諦めも含まれているのかもしれないですけど、クレバーに冷静に見ているなと思うし。でも、若い人たちにエネルギーは間違いなくあり続けているから、それが上手いこと発揮できる思想か何かが必要なんだなと思っていますね。

ー今回のアルバムって、時代や上の世代が提示する「正解」ではなく、「君にとっての正解は何か」「君は何を信じるか」を問いかけているし、「自分で自分に問い続けろ」というメッセージが全体に流れていますよね。

野田:正解がいっぱい提示されている世の中だと思っていて。なんでもググればいいわけだから。昔だったら5年ぐらいかけて「こういうことだったんだ」ってわかったことが、今は2秒でわかる時代で。つまり失敗しない参考書はめちゃくちゃあるんですけど、それって失敗していないだけで、一生自分の正解にはたどり着かないじゃんって。だから今の10代とかは余計に大変だなって思うんですよね。高校の宿題とかも、今は全部ネットに載ってるじゃん? 俺らは一応頑張って考えたりしていたけど。宿題出すほうも、どうしてるんだろうと思って。

武田:たしかに出題するほうも難しいよね。今、ネットのオークションでも売ってるもんね。ゴーストライターが書いた論文をそのまま出すみたいな。

野田:それもう、知識は必要なのか?みたいな話になってくるじゃん。

武田:知恵さえあればいいんだもんね。

野田:そう、「知恵」と「知識」の差がどんどん開いてきているなと思います。

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