RADWIMPSインタビュー「野田、桑原、武田が語るバンドの歩みと現在地」

RADWMIPS:左から武田祐介、桑原彰、野田洋次郎(Photo by OGATA for Rolling Stone Japan、Styling by Daisuke Fujimoto、Hair and Make-up by Asami Nemoto)



大ヒットしても「真ん中の端っこにいる」

ーその奇跡を持ってピンチな期間を充実なものへと変えて、その後生み出された前作『人間開花』は、肯定とか光の輝きが宿っていた作品だったと思うんです。今回のアルバムも、色でいうと「黒」みたいな雰囲気の曲も一部あるけれど、全体としては前作に続いて肯定感や前に連れていってくれる感じがとても強くて、何かを一方的に否定することはないアルバムだなと思ったんですよね。それはきっと、バンドの今の精神状態や空気感が表れているものでもあるだろうし、さきほど話してくれた曲作りの仕方が内にこもっていた感じから解かれたからでもあるだろうし。

野田:そう、内にこもっている感はないですね。『人間開花』を作り終えた後、やり切ったという感じはなくて。あのときからアイデアとしてあった曲もあるし、もうすぐに作りたいとも思って、その時点で完全に次に向かっていたので。『人間開花』のおかげで生まれた、バンドの開かれた空気とマインドでさらに突き進みたいし、それを持って違う景色が見たいと思ってやり始めましたね。『人間開花』の後、結構すぐにやってたよね?

武田:うん、本当にすぐだったね。

ー『人間開花』の続編とまでは言わないけど、地続きになっている作品なんですね。

野田:間違いなくそうですね。あそこでリセットして「さあ、次何しよう?」ってことではなかったです。そのなかで、RADWIMPSが次に向かうべき方向としては、こっちだなっていうことで。バンドの肉体的なサウンドと、ビートが強調されたものを、いま俺らなりに融合して面白いものを作るとしたらこうだっていう道筋が見えたんだと思います。「洗脳」は『人間開花』の直後に作っていたんですけど、「カタルシスト」もそうだし、「NEVER EVER ENDER」のアイデアも実は2017年ぐらいには出来上がっていたので。

ー2016年には「社会現象」とまで言われた『君の名は。』があって、『紅白歌合戦』にも出場して、RADWIMPSというバンドが大衆音楽の真ん中に立ったと思うんですけど、それ以降の楽曲、つまりこのアルバムの曲を作る上で、そのことが何か3人の意識や楽曲の作り方に変化を与えた部分ってありますか?

野田:まったくないですね。

桑原:曲を見たら……(笑)。

武田:まったくないよね。

野田:大衆歌がないですからね(笑)。


Photo by Takeshi Yao

ーえ、そんなことはないでしょ。


野田:俺らは真ん中の端っこにいたいっていうのがずっとあって。真ん中の役割のバンドはもっとたくさん適任がいるから、僕らではない。俺らが目指すロックバンド像は真ん中ではないんです。

ーあれだけのヒット曲を出しても、その意識は昔からずっと変わらないんですね。

野田:昔から変わってないですね。……俺らじゃないよね?(笑)

武田:違うよね(笑)。

ー2016年以降、確実にリスナーの数は増えているし、それら大勢のリスナーをちゃんと引き連れながら肯定感を持って前に進もうという姿勢が今作では強いなと思ったんですよね。

野田:それはすごくあります、今のバンドのモードはそうですし。ただ僕の意識としては、アルバムごとに離れていってしまうお客さんもいるけれど、ずっとコアで僕らを支えてくれている人がバンドとともにある気がして。そこを見失うと終わっちゃう気がするんですよね。まず、『君の名は。』は、僕らは音楽をやっているだけだし、付属品でしかないので、あの現象で知ってくれたりあの曲で来てくれたりした方は、バンドにとってご褒美とかボーナスみたいなものだと思っていて。あの曲で好きになってくれた人が、必ずしもRADWIMPSの他の曲を聴いて好きになってくれるとは到底思えないので、そこがコアになることはないというか。なので、そういう意味でも、僕らが今真ん中にいるということはないのかなと思っています。やっぱり自分たちは、アルバムタイトルじゃないですけど、真ん中に対してアンチテーゼを持ったスタンスでいたいっていう気持ちがどこかありますね。

ーRADWIMPSとillionって、サウンドメイクでいうと今ははっきり境界線があるものではなくなってきているのかなと思っていて。でも、歌詞の書き方や使われている言葉は、明確に違いますよね。そこは、やっぱりRADWIMPSが背負ってるものがあるからこそ、言葉を選んでいるんじゃないのかなと思ったんですけど。

野田:ああ、そうですね。あっち(illion)は「抽象画」という以上に抽象というか。自分の中から出てきた言葉をそのまま言っているだけで。RADWIMPSっていうのは、一つの命題みたいなものに対して僕なりの答えを導き出そうとする感覚が強いなとは思います。意味あることを言うのが疲れるとillionで書く。風呂入ってるか服着てるかって感じかな。……うん、そうですね、歌詞は全然違います。

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