モトリー・クルーの伝記映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』を事実検証

『ザ・ダート』に登場するトミー・リー役のマシンガン・ケリー、ニッキー・シックス役のダグラス・ブース、ヴィンス・ニール役のダニエル・ウェバー、ミック・マーズ役のイワン・リオン(Photo by Jake Giles Netter/NETFLIX )


7.トミーがヘザー・ロックリアと出会ったのは、ヴィンスが交通事故を起こした夜ではない

劇中、トミーがヘザー・ロックリアと知り合うのはパーティーが行われたある家で、その夜に酔っ払ったヴィンスが交通事故を起こし、同乗していたハノイ・ロックスのドラマーだったニコラス・“ラズル”・ディングリーが死ぬ。しかし、実際にトミーとヘザーが出会ったのはREOスピードワゴンのコンサート後で、トミーの会計士が二人を紹介した。劇中で正しいのは、トミーが最初ヘザーを『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』のヘザー・トーマスだと勘違いした点だ。

8.ジョン・コラビには話す能力があった

ヴィンスがバンドを脱退したあと、新たなヴォーカリストとして雇われたのがジョン・コラビで、彼が加入したあとで新作アルバムを作り、ツアーも行った。この活動期間、コラビは自分の口で歌い、自分の言葉で話していた。しかし、劇中のジョンは話すことができない印象を与える描かれ方だ。彼のヘアスタイルは当時に近いが、彼が話せようが、彼がいた時期のバンドの音楽が聞こえまいが、大して意味がない。そして、ジョンがニヤニヤ笑っている男以上の存在感を発揮したシーンはカットされた可能性が高いだろう(コラビを演じたのは「Ten Second Songs」で知られるヘヴィ・メタル・シンガーのアンソニー・ヴィンセント)。



9.彼らの出版権の確保は、劇中で描かれている以上に困難を極めた

映画『ザ・ダート』では、ズータウトをエレクトラというレーベル全体を具現化した存在として描いている。劇中、ヴィンスがバンドに復帰する少し前に、ズータウトがバーでニッキーと会って、レーベルがニッキーに彼の楽曲の出版権を戻すと伝えている。この出来事が実際に起きたのは1998年で、アルバム『ジェネレーション・スワイン』が大失敗に終わったあとのことだ。それもレーベルの代表シルヴィア・ローンとの長く、不快な争いを経てのことだった。その時点で、ズータウトはエレクトラからゲフィンに移籍しており、出版権を取り戻すこの争いに一切関与していない。

10.ドック・マギーのクビの原因は、疎遠だったニッキーの母親が関わった出来事ではない

思春期のニッキーが無愛想な母親と争うシーンで、この映画が始まる。ニッキーは自宅を出たあと、母親と二度と口をきかないと誓う。のちにニッキーが宿泊していたホテルのロビーに、ドックが彼の母親を連れてきて驚かせる。激怒したニッキーはその場でドックをクビにする。現実に起きたことは、ドックが1989年にモスクワ・ミュージック・ピース・フェスティバルを開催し、ボン・ジョヴィ、スコーピオンズ、オジー、モトリー・クルーがこのフェスに参加した。ドックはモトリーに対し、参加する全バンドが短いセットを行って時間通りに終わらせると告げていた。しかし実際にフェスが始まると、モトリーの出演順が他の同格バンドよりも先だっただけでなく、ボン・ジョヴィがフルセットを演奏して大盛り上がりを見せた。モトリーはその場でドックを解雇し、ダグ・サーラーにマネージメントの全権を委ねた。そしてダグは、ジョン・コラビが参加したアルバムが大失敗するまでマネージャーを務めたのだった。

Translated by Miki Nakayama

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