デスメタルが30年経てもなお衰えない理由

3月7日のデシベル・マガジン主催のツアーでニューヨークに登場したカンニバル・コープス(Miikka Skaffari/Getty Images )


タッカーに負けず劣らず有能なのが、モービット・エンジェルの頭脳である狂気の天才ギタリスト、トレイ・アザトースだ。彼は唯一残っているオリジナル・メンバーでもある。木曜日の彼のパフォーマンスを見て、デスメタル最高のギタリストであり、最も魅力的なプレイヤーと呼ばれる所以がはっきりとわかった。彼の愛器である複数の7弦ギターを自由自在に操りながら、激しく邪悪なリフを巧みにソロに混ぜ込んだプレイは、天才の域に達したシュールさがあるのだ。Quake IIIにインスパイアされたミュージシャンであり、自己啓発講演者トニー・ロビンスの教えをエディー・ヴァン・ヘイレンやモーツアルトと同等のインスピレーションと言うアザトースは、有害な音の雲から落ちてくるトレモロアームを駆使した音の酸性雨に、アクロバティックな両手のタッピング奏法を組み合わせる。木曜日の彼は、しばしばアンプの前で観客に背を向けながら、アンプから聞こえる音の洪水に酔いしれているようだった。



モービット・エンジェルがエキセントリックな雄だとすると、一方のカンニバル・コープスは破壊槌と例えられ、プレイステーション・シアターのファンもそれ相当の反応をしていた。モービット・エンジェルまでの3バンドへ熱狂的な反応を示していた観客たちは、トリであるカンニバル・コープスの登場で完全に狂気の塊と化した。これはカンニバル・コープスの楽曲の為せる技とも言える。最近のダウンテンポな曲「Scourge of Iron(原題)」や「Evisceration Plague(原題)」は、巨大モッシュを誘発する目的で作られたカスタムメイドの曲なのだから。これらの楽曲と、2017年のアルバム『Red Before Black(原題)』収録でこの日のセットのオープニング曲として演奏された「Code of the Slashers(原題)」には、ストレートで抗いがたい破滅的なリフがあり、ピットのファンたちは歓喜の表情をたたえた荒くれ者の一群のように反射的にモッシュしていた。それに続く『Red Before Black』収録の「Firestorm Vengeance(原題)」、2004年の『The Wretched Spawn』のタイトル曲、1996年の「Devoured by Vermin(原題)」(コープスグラインダーが初めて参加したアルバム『Vile』の1曲目)で、彼らならではのハイスピードな撲殺サウンドが炸裂したのである。


モービット・エンジェルのトレイ・アザトース

Translated by Miki Nakayama

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