パンテラの結成メンバー、故ヴィニー・ポールがヘヴィメタル史に残した功績

54歳で亡くなったヴィニー・ポール(Photo by Ebet Roberts/Redferns)

米国時間6月22日、ヘヴィメタル・バンド、パンテラのドラマーで結成メンバーだったヴィニー・ポールが54歳で他界したと、バンドが公式Facebookページで発表した。現在のところ、死因は明らかになっていない。

パンテラの公式Facebookには、「ヴィンセント・ポール・アボット、通称ヴィニー・ポールが他界しました。ポールはパンテラ、ヘルイェーのドラマーとしてよく知られています。現時点でこれ以上の詳細はお伝えできません。つらい時期を過ごしている家族のプライバシーを尊重してください」と告知されている。

アンスラックスは「信じられない。俺たちの兄弟ヴィニー・ポール、安らかに眠ってくれ」とツイートした。また、ヴィニー・ポールが大きな影響を受けたと公言していたドラマー、ピーター・クリスがかつて在籍したキッスのポール・スタンリーは、「ヴィニーの死の知らせを聞いてとても悲しい。パンテラと一緒にライブをやったときに大好きになったし、それ以来ヴィニーはいつもキッスのライブのフロントや真ん中にいた。安らかに眠ってほしい。彼の家族へお悔やみを申し上げます」と投稿した。

米テキサス生まれのポールは、弟でギタリストの“ダイムバッグ”・ダレル・アボット、ベーシストのレックス・ブラウンと共に1981年にパンテラを結成した。結成後の10年間はブリティッシュ・ヘヴィメタルの熱狂的なフォロワーとして過ごし、その後、スラッシュとヘアメタルの要素をブレンドするようになった。80年代初頭にドニー・ハートとテリー・グレイズの2人のヴォーカリストと共に3枚のアルバムをレコーディングした後、1987年にフィル・アンセルモをヴォーカリストとして招き入れ、アンセルモ、アボット、ポール、ブラウンの最強ラインナップが完成する。

1990年のメジャー・レベールからのデビュー盤『カウボーイズ・フロム・ヘル/Cowboys From Hell』でバンドは大躍進を遂げ、一気にニュースクール・メタルの筆頭バンドとなった。次のアルバム『俗悪/Vulgar Display of Power』(ローリングストーン誌が選ぶ最高のメタル・アルバム・リストの第10位)で、のちにグルーヴ・メタルと呼ばれるスタイルをほぼ完成させ、90年代以降の音楽のヘヴィさの青写真的な作品となった。

そして、これに続く1994年の『悩殺/Far Beyond Driven』では、前作のスタイルをさらに推し進めたにもかかわらず、初登場1位を獲得。このアルバムはローリングストーン誌が選ぶ最高のメタル・アルバム・リストの39位になっている。さらに2年後には『鎌首/The Great Southern Trendkill』をリリースした。そして、2000年の『激鉄/Reinventing The Steel』から3年後に、アボット兄弟とアンセルモの不和によってバンドは解散したのである。

パンテラの解散後、アボット兄弟はダメージプランを結成し、2004年に『New Found Power』をリリース。しかし、同年12月、ライブ中にダイムバッグがファンにステージ上で射殺されたため、このバンドの活動は終わってしまう。

このとき、メガデスのデイヴ・ムステインは「またメタルヒーローが早すぎる旅立ちをしてしまった。ダリルに俺からよろしくって伝えてくれ。安らかに眠れ、友よ」と投稿している。

弟ダイムバッグの死から2年後、ポールはメタルのスーパーグループ、ヘルイェーを率いて音楽活動を再開した。当初のメンバーは、マッドヴェインのヴォーカリストのチャド・グレイとギタリストのグレッグ・トリベット、ナッシングフェイスのギタリストのトム・マックスウェルとベーシストのジェリー・モンターノ。最終的にモンターノはダメージプラン時代のポールのバンドメイト、ボブ・ジラと交代する。ヘルイェーはその後10年間で5枚のアルバムをリリースしており、最新作は2016年の『Unden!able』だ。

しかし、メタル界に最も大きな影響を与えているのは、パンテラ時代のポールの演奏とレガシーといえるだろう。プロデューサーのテリー・デイトとの長年のコラボレーションの結果生み出された、パンテラのソウルフルでありながら過激なグルーヴ、アルバム音源で聴かれる滑らかでインダストリアルぎりぎりのサウンドは、2000年代の人気メタルバンド、ラム・オブ・ゴッド、スリップノット、ファイヴ・フィンガー・デス・パンチ(FFDP)などの音楽にこだましていた。「聴いた瞬間、俺の人生が完全に変わった」と、FFPDのヴォーカリスト、アイヴァン・ムーディーが2013年のインタビューで、初めて『カウボーイズ・フロム・ヘル』を聴いたときのことを語っている。「俺の魂に火がついた。俺の目は真っ赤になった。それでわかったんだ。俺にとってこのバンドが地球で一番のバンドになるってね」



Translated by Miki Nakayama

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