米・音楽ストリーミング市場、学生料金設定で争奪戦加速

YouTube Musicのショーケースで演奏するセイント・ヴィンセント。

YouTubeがスタンドアローンの音楽ストリーミング・サービスを開始して半年。今後はストリーミング・サービスのメインユーザー層を惹きつけるため、競業他社にならい学生料金を本格展開する。

アメリカ現地時間11月27日、YouTubeはYouTube Music Premiumの大学生ユーザー向け月額4.99ドル(約570円)プランを発表した。これはSpotifyとApple Musicの学生料金と同額である。通常の使用料である月額9.99ドル(約1100円)のほぼ半額の4.99ドル・プランでも、広告なしで楽曲の公式版、プレイリスト、リミックス、ライブ・パフォーマンス、ミュージックビデオにアクセスでき、バックグラウンドやオフラインでの聴取も可能だ。

また、通常11.99ドル(約1400円)のYouTube Premiumにも学生向けの月額6.99ドル(約800円)を設定した。違いがよく分からないという方に説明すると、Premiumとは今年初めに商標を変更する以前はYouTube Redと呼ばれていたサービスで、YouTubeの有料ビデオ・ストリーミング・サービスだ。広告なしの動画再生とYouTube上での動画ダウンロードが可能で、YouTube OriginalsとYouTube Music Premiumへのアクセスもこの料金に含まれている(プレミアムではないYouTube Musicは誰でも利用できる無料サービスだが、広告が入り、公開内容も限定される)。ところが、2019年1月31日までにサインアップした学生は、月額5.99ドル(約700円)でYouTube Premiumを利用でき、その後もこの金額が維持される予定だ。

この学生向けの2つの新料金は「音楽とYouTubeオリジナルのシリーズ番組と映画の世界に、広告なしに加えてお財布に優しい料金でアクセスできる」ディスカウントだと、YouTubeのプレスリリースに記載されている。ここでは、音と映像、その両方を使ったすべてのものが含まれるコンテンツの「世界」が強調されており、この総合的な世界観を謳った「世界」という言葉は、近年ストリーミング・サービス界で頻繁に登場するようになっている。参入企業が増えてマーケットが成熟するに連れて、それぞれの企業が独自のお買い得感を出して新たな客層を開拓しようと、あの手この手を試しているのだ。

例を挙げると、最近SpotifyはHuluとShowtimeと提携して、大学生向けに音楽、映画、テレビ番組を月額4.99ドルで提供し始めた。また、Apple Musicが似たようなメディア・バンドルでのサービスを近々発表するという噂もあり、これも新たなユーザー獲得を狙ったものだと言われている。ストリーミング企業にとって大学生は確実に獲得したいユーザー層だ。ストリーミングのプラットフォームに若者リスナーを多く取り込むほうが、特定層の料金の大幅な値下げに反発して去っていくユーザーよりも重要だという認識が各社にあるのだ。しかし、クリスマス商戦と相まって音楽サブスクリプションの価格破壊が進む現状に、音楽はただ同然で聞くものという認識がリスナーに定着する危険性を音楽業界は懸念している。

Translated by Miki Nakayama

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