角舘:その時は僕もなにを言われているのかわからなかったんですけど、さっきの教会や崖の話のように、最近、「なにかに触れる瞬間」とか「なにかに取り憑かれる瞬間」が芸術の世界にはあるんだっていうことが、自分にもわかってきたんです。「Summer of Love」も、自分の中で「触れた!」っていう感覚が強かったんですよ。歌詞にも<教会に迷い込んで 内緒話 花咲いた>っていうフレーズが出てくるし……本当に、愛という意味ではいろいろと象徴的な曲だなって思う。
-たしかに、「Summer of Love」の歌詞には、<最終列車よトレイン 走りだせブルーへ 前へ>というラインもありますけど、列車はゴスペルに頻出するモチーフですよね。そもそも「Summer of Love」は、『SPRING CAVE e.p.』に角舘さんがひとりでレコーディングされたバージョンが収録されていましたけど、このタイミングでバンドサウンドにしてリリースされたのは、どのような経緯があったのでしょう?
角舘:「Summer of Love」は去年の夏の合宿の時にできた曲で、その時点で、僕はかなり手応えを感じていたんです。それで『SPRING CAVE e.p.』にも入れようっていう話になったんですけど、あのEPには、「洞窟の中から出ていく」っていうコンセプトがあったし、一度ひとりでこの曲を咀嚼したいなと思って。
角舘:そうだよね。だからこそ、このMVも全員の中でリンクしていた情景が映像になっていて。それも愛だよね。「Summer of Love」を作っている間は、本当に純粋無垢に作品作りに向き合っていたんです。見たものを見たように感じて、それを感じたように鳴らして、それを曲にして。さらにMVにまでするっていう……この忙しない時代にそう簡単にできないようなことができた曲になっています。