マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィンが語る「人生を変えたギター」

フェンダー・ジャズマスターを愛用する、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズ(Photo by Tessa Angus/Fender)



ー本物のジャズマスターを初めて手に入れたのはいつ?

1988年の春だね。クリエイション(・レコーズ)からレコードを出さないかって持ちかけられた時、僕らはまだAntoria(Gibson ES-335の模造品)やアイバニーズの335のパクリとかしか持ってなかったんだけど、友達のビル・キャリーが「俺のを使えよ」って言ってくれたんだ。彼はグレッチのギターも持ってたけど、僕が気に入ったのはジャズマスターだった。レーベルがスタジオを3〜4日間抑えてくれて、僕はそのセッションの間にトレモロアームの使い方を覚えた。その時に作ったのが『ユー・メイド・ミー・リアライズ・EP』で、ジャズマスターを使った最初の曲が「スーン」、次に作ったのが「スロー」だった。でもその本当の魅力に気づいたのはもう少し後だったね。それ以来、ジャズマスターを越えるギターには出会ってないよ。

ーそのジャズマスターを友人から譲ってもらいましたか?

いや、今も彼が持ってるよ。彼とは親しくしてるから、いつでも使わせてもらえるけどね。

ー新たにジャズマスターを手に入れるたびに、やはり改造を加えるのでしょうか?

そうだね、自分のスタイルに合うよう少し手を加えてる。まずはトレモロアームの根元にテープを貼るんだ。そうすると若干浮いたようになって、弾いてる最中も手のひらにうまく収まるから、僕みたいな使い方をする場合には便利なんだよ。

ー最も気に入ったのは、やはり流動的に音程を変化させられる点でしょうか?

それだけじゃないよ。ピッチを変化させるっていうのはそれ以前からもやってたしね。1983年に活動を開始したときから、ドラムを録ったカセットテープをいじってピッチを変えるっていうのをやってたんだ。シンセで似たようなことをやってた連中もいたね。D.A.F.っていうドイツのエレクトロニック系バンドで、シンセの音程を延々と変化させ続ける風変わりな曲が最高だった。トレモロアームのことを知ったとき、これを使えばギターでシンセと同じようなことができるって思ったんだ。これぞまさに僕が必要としていたものだ、そう感じたね。

モンタレー・ポップ・フェスティバルでジミ・ヘンドリックスが演った「ワイルド・シング」のライブ映像を繰り返して観てたんだけど、テープが飛んでピッチが揺れる部分があったんだ。最後の方なんかはテープの劣化が酷くて、完全に別物になってしまってた。録音物としては完全にアウトなんだけど、僕はその効果に不可思議な魅力を感じた。ジャズマスターを初めて弾いたとき、それと同じ感覚を覚えたんだ。理想の恋人に出会ったときのような気分だったね。

Translated by Masaaki Yoshida

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