アーロン・ジャッジ:野球の常識を覆すヤンキースの超大型スラッガー

今シーズンが「楽しみで仕方ない」とローリングストーン誌に語るニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ(Photo by Theo Wenner for Rolling Stone)

不振に苦しんだ時期を乗り越え、昨年52本のホームランを放ち、2017年のMLB最優秀新人選手賞に輝いたアーロン・ジャッジ。今シーズンに新たな伝説を生むであろうと期待されているヤンキースが誇る超大型スラッガーに注目だ。

よく晴れた春のある日、フロリダ州タンパに滞在中のアーロン・ジャッジは、まるで当然と言わんばかりにホームランを連発している。彼のバットがボールをとらえるたびに、球場には心地よい打撃音が響き渡り、場外約120メートルという前人未踏の飛距離を叩き出す。目を向けていなくとも、打撃音だけでそれが特大ホームランであることが分かる。その硬質な音は、2018年のアメリカン・リーグを席巻するであろう、ヤンキースが誇るスラッガーの代名詞だ。

昨年52本のホームランを放ち、2017年の最優秀新人選手賞に輝いたジャッジは、今シーズンでブロンクスにおける新たな伝説となるはずだ。身長2メートル強、体重約130キロという体格を誇りながら、ショートに不可欠な優れた反射神経も備えている彼は、まさにスパイクを履いたレブロン・ジェームズだ。蛇のようにうねる左足と、コンタクトの際に片手を離すモーションのシンフォニーともいうべきジャッジのスイングは美しくも暴力的であり、あらゆるピッチャーにとっての脅威だ。昨年6月11日の対バルチモア戦で放った150メートル強のホームランで、彼はアメリカン・リーグにおける新記録の保持者となった。また打球の速度においても、彼は時速約191キロ超という記録を4度叩き出した。同リーグにおいて、彼以外にその記録を1度でも出した選手はいない。

「はっきり言って嫉妬するよ」そう話すヤンキースの左翼手のブレット・ガードナーに比べ、ジャッジは20センチ以上背が高く、体重は40キロ以上重い。「一度でいいから、あんな遠くまでボールを飛ばす感覚を味わってみたいね」

ジャッジに賛辞を送るのは彼だけではない。ヤンキースの指名打者であり、かつてセントルイス・カージナルスでアルバート・プホルスのチームメイトだったマット・ホリデイは、昨年ジャッジについてこう語っている。「俺が見てきた中で、おそらく最も才能に恵まれた選手だ」

しかしジャッジは、トレードマークの人懐っこい笑顔を浮かべて謙虚な姿勢を示してみせる。「まだまだ先は長いよ」彼はそう話す。「僕はまだ25歳だし、何も達成できていない」

Translated by Masaaki Yoshida

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