ミーゴス1万字インタビュー:ヒップホップ界のキングが語る過去・現在・未来

写真左からオフセット、テイクオフ、クエヴォ (Photo by Theo Wenner for Rolling Stone)

最近とあるファンが「ミーゴスはビートルズを超えた」と話すミームが話題になったが、ファブ・フォーがそうであったように、ミーゴスの3人はそれぞれ異なる個性を持ち合わせている。リーダーでありフロントマンを務めるクエヴォ(本名:クエヴィアス・マーシャル)は、カリスマチックで存在感に満ちながらも、他愛ないジョークにさらりと乗っかる余裕も持ち合わせている。高校時代にはエースクォーターバックを務めた彼は、1試合で28のフォワードパスを成功させるという、グイネット群における新記録を打ち立てた。テイクオフ(本名:カースニック・ボール)は無駄口を叩かず、本当に必要な時にだけ口を開くタイプだ。普段はおとなしい彼だが、マイクを握ると爆発的なエネルギーでライムを繰り出し、文字どおり「テイク・オフ」してみせる。

オフセット(本名:キアリ・シーファス)はよりディープでシリアスだ。ざらついた声はそのキャラクターを体現している。2011年には窃盗罪とマリファナ所持で逮捕されるなど、過去にはトラブルも起こしている。2015年にグループが銃とドラッグの所持で逮捕された際、テイクオフとクエヴォは司法取引を認められたが、オフセットは過去の犯罪歴を理由に8ヶ月の懲役を言い渡された。前科者というイメージを持たれることは少なくないが、オフセットは否定する。「俺は犯罪者なんかじゃねぇ」彼はそう断言する。「ただの若気の至りさ」彼は10代の頃に、様々な犯罪に手を染めたことを認めている。「いろんなことをやったけど、母さんにはバレないよう気をつけてた。ドープも見つからないように隠してたしな」ストリートで金を稼いでいた日々は、ミーゴスを始動させるためのビジネスプランの一部だったという。

しかしすべては過去の話だ。12月上旬の現在、ミーゴスはプラチナディスクに認定された2017年作『カルチャー』に続く新作、『カルチャーⅡ』を完成させようとしていた。3日後に締め切りを控えていた当日、彼らは30曲の中から20~21曲を選ぶという難題に挑んでいた。その中にはファレルがプロダクションを手がけたもの、ビッグ・ショーンとタイ・ダラー・サインがゲスト参加したもの、トラヴィス・スコットがヴォーカルを提供したもの等が含まれている。またカニエ・ウェストが数曲を手がけていると言われているが、彼らはそのすべてを今作に収録する気はないとしている。「彼に何曲か作ってもらったんだよ」テイクオフはそう話す。「いつ出すかは俺ら次第だがね」

世間の期待とプレッシャーをよそに、今日もオフセットは洒落たファションに身を包んでいる。スカルキャップ、タートルネック、レザーパンツ、そして靴下に至るまで、全身が黒で統一されている。体にぴったりとフィットしたタイトなルックは、ファッションショーの会場にいてもおかしくない。弁護士とのミーティングや、マネージャーやプロデューサーからの電話なども、彼は素早くテキパキと片付けていく。また当日は、階上に彼のフィアンセであるカーディ・Bもいた。


カーディ・Bも参加した『カルチャーⅡ』収録曲「MotorSport」

2人が出会ったのは約1年前だ。スターダムにのし上がりつつあったカーディ・Bの存在を知ったオフセットは、彼女に会いたくてたまらなくなったという。「彼女しかいない、そう思ったんだよ」彼はそう話す。「カーディ・Bの虜になっちまったってわけさ」彼はパブリシストにニューヨークでのディナーをアレンジさせ、カーディを含む女性数名を招待した。2人の初デートはスーパーボウルだったという。彼はこう話す。「名声を思いっきり利用してやったんだよ」

ロングのブロンドヘアをケープのようにたなびかせながら、カーディが急ぎ足で階段を降りてきた。ニューヨーク行きのフライトに乗り遅れそうだと言いながらも、彼女は車に乗り込む間際に、目を輝かせながらオフセットについてこう語った。「彼はいつだって他人への思いやりを忘れないの」彼女はこう続ける。「人は裕福になると、どうしても周囲から頼られちゃうじゃない? 子供たちの面倒も見なきゃいけないし、彼ほどの働き者は見たことがないわ」

オフセットは大観衆の目の前でカーディにプロポーズ。「彼女は真のギャングスタで、尊敬に値する女性だよ」

増やす方法であれ使い途であれ、オフセットは絶えずカネの話をしている。散財を楽しむ一方で、家族の面倒を見ることも彼の喜びになっているという。「家族を養っていかなきゃいけないからな」彼はそう話す。「俺には3人の子供がいる。全員が立派な教育を受けて、裕福になれるようにしてやりたいんだ」子供の1人は現在8歳で、他の2人は2歳だが、その2人は双子ではない。「ラッパーとして地に堕ちた挙句、テレビに出て食いつないでいる奴らみたいにはなりたくないんだ」オフセットはそう話す。「俺はあくまでラッパーとして稼ぐ。そしてそのカネをビットコインにつぎ込むのさ」

ー現在のビットコインの総資産額はどのくらいなんでしょう?

「個人的な投資について話す気はねぇよ」

ー何か話せるものはありませんか?

「アトランタに5軒の家を買ってすぐ売っぱらった。3倍になって戻ってきたよ。17万ドルくらい儲けたかな」そう話す彼は、現在はオフィスビルの購入を検討しているという。

昨年10月にフィラデルフィアで行われたコンサートで、何千人ものオーディエンスが見守る中、オフセットはステージ上でカーディにプロポーズした。なぜあの場でなくてはならなかったのか?「俺が本気だってことを伝えるためさ」彼はそう話す。「世界中の人間に目撃させてやりたかったんだ。(あの指輪に)50万ドルくらいつぎ込んだしな」

ーなぜ彼女と結婚しようと思ったのでしょうか?

「彼女は俺と同じ場所からスタートして、現在の立場を築いた。彼女は本物さ。何もないところから頂点まで、華麗に上り詰めてみせた。彼女は真のギャングスタで、尊敬に値する女性だよ。一緒になるなら彼女しかいないと思ったんだ」

しかし1月上旬、カーディはオフセットが浮気をしているとツイートした(現在では削除されている)。また同時期に、オフセットらしき人物が映った複数のセックステープが流出した。カーディの投稿の直後、筆者はオフセットに結婚の予定に変更はないのかと尋ねた。「当面結婚の予定はないよ」彼はそう話した。「今はお互い忙しいから、そうやって縛らないほうがいいんだ」何があったのかと尋ねたが、彼は答えなかった。「プライベートなことだ」彼はきっぱりと言った。「俺の私生活は、ステージに立ってる俺とは関係のないことなんだよ」

そのやり取りの直後、オフセットは首に「Cardi B」のタトゥーを入れた。

Translated by Masaaki Yoshida

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