ミーゴス1万字インタビュー:ヒップホップ界のキングが語る過去・現在・未来

写真左からオフセット、テイクオフ、クエヴォ (Photo by Theo Wenner for Rolling Stone)

スタジオ作業における彼らの抜群のチームワークは、彼らが小さな頃から多くの時間を共に過ごしてきたことと関係している。特にクエヴォとオフセットは、共に不遇な幼少期を過ごしている。クエヴォが中学2年の頃、彼の母親は病に倒れた。「足がブドウ球菌にやられちまったんだ」彼はこう続ける。「母さんは家賃と薬代の捻出にいつも追われていた。子供ながらに胸が痛んだよ」5歳か6歳の頃に父親を亡くしたクエヴォは、病気を抱えながらも彼と2人の姉妹を支える母親の姿を見て、自分がしっかりしなくてはと考えるようになったという。「その頃に俺は誓ったんだ」彼はそう話す。「何が何でも成功してみせるってな。そして実際にそうなったわけだ」

一方オフセットは、兄が収監されるという悲劇を経験している。「あまりメディアで話してないけど、俺は兄貴からいろんなことを学んだ。俺が中学2年の頃、兄貴は懲役15年をくらった。衝撃的な出来事だったよ」ちょうどその頃、彼とクエヴォは一緒にラップにのめり込むようになったという。その後テイクオフが加わって3人組となったミーゴスは、クエヴォの母親の実家である3ベッドルームの家で共同生活を始める。

2011年に初のミックステープを発表したミーゴスは、その2年後に初のヒットシングル『ヴェルサーチ』を世に送り出した。泣く子も黙るスーパースターとなった現在、3人はその豪遊っぷりを隠そうともしない。「L.A.なんてプライベートジェットでひとっ飛びさ」クエヴォにとってその距離感は、一般市民が車でコンビニに行く時の感覚と変わらないのだろう。スーパーボーラーばりの富を手にした彼は、クリスマスには新築の大きな一軒家を母親にプレゼントした(実際にはクエヴォの甥であるテイクオフと費用を折半したという)「すげぇ喜んでたよ」クエヴォはそう話す。「感極まったのか、一日中泣いてたもんな」



急速に成功を収める一方で、幾つかのトラブルにも見舞われた。去年のBETアワードではクリス・ブラウンと衝突し、最近では2度にわたる同性愛者に対する差別発言で非難を浴びた。後者については、それぞれ謝罪のコメントを発表した。「ゲイの人々もストレートの人々も、俺たちは分け隔てなくリスペクトしている。俺たちの発言に気を悪くしたすべての人々に、謝罪の意を表したい」またネット番組『Everyday Struggle』の司会も務めるラッパー、ジョー・バデンとの衝突も記憶に新しい。ミーゴスが同番組に出演した際、バデンは彼らへのディスとしてインタビューの途中で退席し、3人とクルーは予期せぬ事態の収束を迫られた。その様子を目にした誰もがビーフの勃発を予感し、直後に公開されたビデオは爆発的に拡散されていった。そのビデオでクエヴォは、ジョー・バデンをヘイターの代名詞として扱った。また昨年末に公開されたクエヴォとリル・ヨッティのコラボレート曲「アイス・トレイ」のコーラスでも、ジョー・バデンの名前が登場した。

しかし現在では、彼のことなどもはや眼中にない様子だ。「ジョー・バデンとのビーフなんてねぇよ」彼はそう話す。「ハナっからやつのことなんてクソ食らえだったんだよ。マジで地獄に堕ちりゃいいんだ。今度会ったらぶっ殺してやるとか、そんなの考えるのも面倒臭ぇよ。死ぬほどつまんねぇやつだからな。そんなやつとのビーフなんてねぇよ。やつはただアーティストを怒らせたいだけのチンケな野郎だ。昔アーティストだったから、そういうやり方だけは心得てるんだよ」その後公開されたビデオで、バデンは同曲をこき下ろした上で「やつらはカスだ」とコメントしている。しかし本誌が彼にコメントを求めたところ、戻ってきた返答は「俺はロード・クエヴィアスを愛している」というものだった。

Translated by Masaaki Yoshida

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