イギー・ポップが語る5つの逸話:ボブ・ディランもどきへの嫌悪、ジョー・ペリーとの出会い

イギー・ポップがツアーの思い出やバンドの歴史を振り返る伝記『Total Chaos』、11月15日にサードマン・ブックスより発売(Photo byPatrick Pantano)


1. 有名なグラムロック調のステージ衣装はKマートで購入

ザ・ストゥージズにとって初のニューヨーク公演は、クイーンズのWorld’s Fair Pavilionで行われたMC5のショーの前座だった。折れたドラムスティックで自身の体を傷つけるポップの有名なパフォーマンスが披露されたのも、この日が初めてだったという。「オーディエンスの度肝を抜いてやった」彼はそう話す。「初めてのニューヨーク公演だったからな。極端に丈の短いリーバイスのショーツにミネトンカのモカシンブーツっていう格好で、俺は危険も顧みずにステージからダイブしまくった。オーディエンスはこんな風に(表情を真似て)目を丸くしてたよ。痛かったけど、ステージ上の俺は超人だから平気だった」ポップは笑ってそう話す。

かの有名なグラムロック調のステージ衣装は、Kマートで調達したものだという。「店の中をただうろついてた時に、女のマネキンがシルバーの手袋をつけてるのを見て、俺にぴったりだと思ったんだ。いろんなやつに頼んでその手袋を片っ端から買い集めた俺は、ステージに立つたびにそれを身につけるようになった」観客の目を引いたのは手袋だけではなかった。「小さなグラスのボトルに入ったジョンソン&ジョンソンのベビーオイルを顔や体に塗りたくって、金と銀のラメで全身を覆った。当時ネスレが出してたStreaks’n Tipsっていうやつで、金と銀以外に黒もあった。最近は見かけないけどな」彼は笑ってそう話す。

2. ボブ・ディランもどきは「クソ」

『Total Chaos』において、ポップはストゥージズの曲が多くの言葉を必要としなかった理由と、強靭な言葉選びの美学について語っている。「当時はボブ・ディランもどきがうじゃうじゃいて、どいつもこいつもクソだった」彼はそう話す。「ひだのついた時代錯誤のダサいシャツを着て、クソみたいな曲を歌ってるやつらが死ぬほど嫌いだった。こんな言い方をすると気を害するやつもいるだろうけど、マジで我慢ならなかったんだ」

「ボブ・ディランは偉大だよ。でもその偽物はムショに入れるべきだ」ポップは笑ってそう話す。「今は俺も多少は寛大になったよ。当時の俺はとにかく余裕がなかったから、大した努力もしないで成功しようとしてる奴らを見ると腹が立って仕方がなかったんだ」

3. ジョー・ペリーに衝撃を与えた1969年のライブ

ストゥージズが本格的なアメリカツアーを開始した頃、バンドはオーディエンスを振り向かせることに躍起だった。「俺たちは反動的ロックンロールの牙城だった」オーディエンスの反応がネガティブであっても気にしなかったという彼はこう話す。「とにかく客に無視させないことが大前提だった」1969年にボストンのフェンウェイ・パークのそばにあった古びた会場で、ストゥージズがグレイトフル・デッドの前座を務めた時、会場には若かりし頃のジョー・ペリーの姿があった。「何年か後に、エアロスミスのメンバーになってた彼にこう言われたんだ。『グレイトフル・デッドは覚えてないけど、君らのライブはよく覚えてるよ。アシッドでキマった観客たちの横っ面をはたくようなセットだった』」

Translation by Masaaki Yoshida

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