イギー・ポップの軌跡:未公開写真で綴る高校時代からストゥージズ結成の瞬間まで

『Total Chaos: The Story of the Stooges』で語られる、あるギャラリーでストゥージズが生まれた瞬間 (c) Steve Bober

イギー・ポップが自身の言葉で半生を振り返る『Total Chaos: The Story of the Stooges』

うなるようなリフとピーナッツバターを全身に塗った滑稽なフロントマンを擁するザ・ストゥージズは、60年代末に突如としてシーンに出現した。そのアナーキーなイメージとは対照的に、イギー・ポップとバンドのメンバーたちは、ミシガン州アナーバーの比較的平凡な環境で育ったという。

イギー・ポップ本人の口述をもとに、ジェフ・ゴールドが執筆した『Total Chaos: The Story of the Stooges』では、世界を揺るがしたバンドの物語が多くの未発表写真とともに綴られている。また本書にはジョニー・マー、ジョシュ・オム、デイヴ・グロール、ジョーン・ジェット、ジャック・ホワイト等も登場し、それぞれがストゥージズへの思いを語っている。

本書は11月15日に、ジャック・ホワイトのThird Man Booksから発売される。ファンの期待が高まる中、ローリングストーン誌が独占入手した本邦初公開となる写真の数々を、本書から抜粋されたポップ自身の言葉とともに紹介する。

スクール・デイズ/高校時代

Don Swickerath

アナーバー高校1965年イヤーブックでのジェームズ・「イギー」・ニューエル・オスターバーグ・ジュニア。「これは3年か4年生の頃で、当時は金曜の放課後に(ザ・イグアナズとして)ギグをやるのが一番の楽しみだった」ポップはそう語っている。「午後4時になるとパーティ目当ての女の子たちが集まってきて、気を引こうとするクラブのやつらは樽からビールをがぶ飲みしてた。いつも2時間くらい演奏してて、儲けはだいたい80ドルくらいだった。みんな実家に住んでたから生活費の心配をする必要もなかったし、今と違って子供の養育費なんかとも無縁だったから好き放題やってたんだ」

ディベートチーム


イギー(後列、左から3番目)はアナーバー高校の1964年ディベートチームの一員だった。同校のイヤーブックにはこう記されている。「1963−1964年期のテーマは、『政府による全国民の医療費負担を実現するために』だった。チームは Flint Northern Invitational Debate Tournamentでグランプリを獲得したほか、Eastern Michigan and Western Michigan Debate Tournamentsにおいても同立1位に輝いた」

ザ・イグアナズ

Don Swickerath

ザ・イグアナズ結成のきっかけは、イギーの友人のジム・マクラフリンがギターを手にしたことだった。間もなくして、イギーはバンドに参加するためにドラムキットを購入する。「リハーサルではレイ・チャールズの『ホワッド・アイ・セイ』や、サンディ・ネルソンの『レット・ゼア・ビー・ドラムス』なんかをよく演ってた。後者は俺が推したんだ、ドラムソロがあったからな」ポップはそう語っている。「1年生を対象にしたタレントコンテストに、The Megaton Twoっていう名前で出演したんだ。俺はアダ名をつけるのが得意だったから、バンドの名前も俺が決めた。それ以来、校内での俺の知名度はグンと上がったよ(笑)女の子の視線を感じるようになって、野郎どもからも『おいオスターバーグ、なかなかよかったぜ』なんて声をかけられた」写真が示すとおり、1965年当時のバンドは5人編成だった。

Translation by Masaaki Yoshida

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