フレディ・マーキュリー、死と対峙したクイーン最後の傑作とは

病に侵されたフレディ・マーキュリーが死と対峙した、91年のクイーンのアルバム『イニュエンドウ』を振り返る。 John Rodgers/Redferns/Getty


『ブラックスター』と同様、『イニュエンドウ』からは死に瀕した男の悲しみは感じられない。むしろ、病と真正面から向き合ったアーティストの作品、そして、かつてマーキュリーが口にしたと伝えられている「ぶっ倒れるまで働き続ける」という誓約であるように感じられる。

そして、『イニュエンドウ』のサウンドには、彼の意図が明確に現れている。ピンク・フロイド的なサイケデリア、初期のEDM、ザ・スミス的なロマンティシズムに寄り道したものの、過小評価された89年のアルバム『ザ・ミラクル』から始まった、クイーンの70年代初期のハードロックのルーツへの回帰に、多くの面で『イニュエンドウ』は成功したかのように見えた。ボレロで始まり、フラメンコを挟み、オペラ的なハードロックで終わる、アルバムのオープニングを飾る6分半のタイトル曲は、たちまち『ボヘミアン・ラプソディ2』と評された。しかし、この曲は明らかに、レッド・ツェッペリンの『カシミール』から着想を得た、まったくの別物だった(92年にウェンブリー・スタジアムで行われたフレディ・マーキュリーの追悼コンサートで、ロバート・プラントとクイーンの残りのメンバーがその2曲をメドレーで披露した)。また、この曲は、クイーンが外部のギタリスト(イエスのスティーヴ・ハウ)をフィーチャーして録音した唯一の曲でもある。緻密に構成された曲の中盤に入るフラメンコギターのソロがそれだ。


Translation by Naoko Nozawa

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