ニール・ヤング、「隠れた名曲」人気ベスト10

7位「デンジャー・バード」


ギタリスト、ダニー・ウィットンが1972年に死去したことで、クレイジーホースも終焉を迎えたかに思われたが、その数年後、ヤングがギタリスト、フランク「ポンチョ」サンペドロとの出会いを果たしたことで、バンドは再生を果たす。新生ニール・ヤング&ザ・クレイジー・ホースの最初のアルバム、1975年作品『ZUMA(ズマ)』は、ドラッグが濃厚に煙る中、ファズを効かせたギターソロ満載で録音された。その2曲目に配されたのが、7分にわたるこの大作「デンジャー・バード」である。実際にはこの曲は、何週間もの時間をおいて収録された2つのテイクをぎこちなくつなぎ合わせたものだった。ヤングにとってもこの曲は幽霊楽曲となっており、2003年のソロライヴでピアノの弾き語りで披露した以外、クレイジーホースでは一度も演奏していない。ただ、ライヴ盤『イヤー・オブ・ザ・ホース』にはこの曲の13分半のバージョンが収録されているのでチェックされたい。

6位「優しきポカホンタス」


ニール・ヤングはもともとこの「優しきポカホンタス」を、1977年に発売するはずだった『クローム・ドリームス』というアルバムに収録する予定だったのだが、このアルバムは現在にいたるまで、お蔵入りとなっている。この曲はその2年後に、『ラスト・ネヴァー・スリープス』のアコースティック面に再録された。キャロル・キング1963年の作品「ヒーズ・ア・バッド・ボーイ(He’s a Bad Boy)」のメロディを借りたこの曲は、17世紀に始まり、マーロン・ブランドやアストロドームの時代へといたる、あまりにもシュールな時間旅行について歌っている。「コルテス・ザ・キラー」同様、ヨーロッパによるアメリカの植民地化がネイティヴ・アメリカンに与えた破壊的な影響が主要テーマとなっている。この曲は長年にわたり、ヤングのセットリストの常連曲であった。

5位「アルバカーキー」


クレイジーホースのギタリスト、ダニー・ウィットンと、ローディーのブルース・ベリーの逝去の動揺も醒めぬまま、わずか数週間で録音された『今宵その夜』は、旅立っていった友人を弔うアイルランド風の葬式でもあり、同時にロックの傑作でもあった。ほとんどの曲が一発録音で収録され、参加したミュージシャンは自分を消すように楽曲に溶け込んでいる。技術的には完璧ではないが、パフォーマンスは非常に感動的で、多くのニール・ヤング・ファンがこの作品をヤングの最高傑作に挙げている。なかでも優しさにあふれた曲が、ピアノにニルス・ロフグレン、ペダルスチールにベン・キースを迎えた「アルバカーキー」だ。この曲は表面的には、マリファナを吸い、レンタカーを借りてニューメキシコまでドライヴし、卵焼きとハムを食べるという物語なのだが、実は逃避できる場所、落ち着ける場所への焦げるような切望感を歌っている。ヤングはこのオリジナルのスタジオ録音版に手を加えようとはしていないが、1999年のツアーで披露したソロのアコースティック・バージョンは本当に素晴らしかった。

4位「レヴォリューション・ブルース」


デヴィッド・クロスビーは、『渚にて』収録のこの身の毛もよだつような曲で、ロープで縛り付けられて連れてこられたかのように無理やりギターを演奏させられたのだが、このチャールス・マンソン的な人物の物語をひどく恐れて、今でもなお、この曲のことは嫌いだと語っている。元バーズのメンバーが、殺人サイコパスの視点から曲を書くというのは確かに想像しがたい。「ローレル・キャニオンにはスターがたくさん住んでいるらしい。オレはヤツらのことをらい病患者より憎んでいる。ヤツらの車に潜み、一人ずつ殺していってやる」。この曲は(一応は)平和だった60年代が終わりを告げ、暴力的でドラッグ漬けの70年代が始まるという、難しい時代の反映でもあった。ヤングは、1987年のクレイジーホースでの一度限りのギグで演奏して以来、この曲に触わっていない。

Translation by Kuniaki Takahashi

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