ニール・ヤングの新作『Earth』についてわかる5つのこと

(Photograph by Steve Appleford)

「どの動物の鳴き声も音程調整はしていない」ニール・ヤングが自然の音を収録した新作を語る。



ニール・ヤングが到着する数分前、ロサンゼルス自然史博物館の屋外に設置されたステージに、女性と少年が火のついたセージの束を持って登場し、あたりをいぶすように煙を振りまいた。その夜ヤングは、エコ・コンシャスな新作『Earth(アース)』を、小さな屋外円形劇場に集まったファンにプレヴューするのだ。

ヤングがようやくマイクの前に姿を見せたのは、太陽が沈もうとしている頃だった。房のついたコートを着て、黒い中折れ帽をかぶったヤングは、言葉少なにやさしくこう語った。「ジョン・レノンならこう言うでしょう。意識のスイッチを切って、リラックスして、流れに身を任せましょう」

13曲収録のこのアルバムは、『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』から『ザ・モンサント・イヤーズ』に至るまでの彼のキャリアを通じて発表されてきた環境意識の高い楽曲のコレクションで、昨年プロミス・オブ・ザ・リアルとライヴ録音されたものだ。ヤングはこれに虫や野生動物の鳴き声を加え、まるで地球上のあらゆる生物の代表が音楽を聞いているかのように仕立てている。ほぼ90分にわたるこの作品は、全体でシームレスな1つの作品のように展開していき、鳥や猿の声、鯨の鳴き声、犬の遠ぼえ、熊のうなり声、風の音などが曲間を埋めている。楽曲も、パイプオルガンとハーモニカをフィーチャーした『マザー・アース(自然の讃歌)』から、ギターが荒々しい『Seed Justice』まで、ヤングのいろいろな時期とスタイルの楽曲を取りそろえている。アルバムのトリは、25分間にわたって展開する破壊力満点の『ラヴ・アンド・オンリー・ラヴ』で、もはや曲というより、特に終盤にかけてどんどん抽象的なサウンドスケープに変貌していく。波のように時おり押し寄せる反響とシンバルの音が、大音量になっていく野生の音を際立たせている。

『Earth』のお披露目にこれ以上ふさわしい場所はなかっただろう。ヤングと聴衆の背後にそびえ立っているのは巨大なガラス製の箱で、そこには19メートルもあるナガスクジラの骨が飾られている。博物館の中には、恐竜の化石や、グリズリー・ベアやアメリカン・バッファローが描かれた野生生物のパノラマが展示されている。このイヴェント会場でローリングストーン誌はヤングに話を伺い、『Earth』についての5つのことを学んだ。

Translation By Kuniaki Takahashi

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