ビートルズが楽器を交換した名曲10選

Photo: John Pratt/Getty


『マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー』


いくつか後期ビートルズの楽曲は、『アビイ・ロード』に収録された、風変わりな殺人事件を賑やかな合唱つきで歌う『マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー』で冷笑を買い、傷ついてしまった。理解し難いこの歌の主人公マックスウェルが、家庭用工具でその犠牲者たちを殺害するという内容だ。レノンは、ビートルズ終盤期ではいつもそうしていたように、この曲をマッカートニーの「ばあさん向けの音楽」として書き飛ばした(言い伝えによれば、「だから、彼は残って待っている」という歌詞をマッカートニーが歌うのに合わせて、レノンは尻を出して不快感を示したらしい)。

荘厳な葬儀のそれではなく、軽快だが捨て曲の軽さがある『マックスウェル』は、実際のところ、その後はじまる音響効果の可能性の実験に対する「じらし」になっている。マッカートニーはピアノ、ギター、荒天時の風の音のようなモーグのシンセサイザーを操り、マーティンはオルガン、記録によって異なるのだが、リンゴかアシスタントのマル・エヴァンスのどちらかが、死を告げる鉄床を鳴らしている。

『シー・セッド・シー・セッド』


ビートルズの全作品においてマッカートニーのメロディアスなベースはビートルズの象徴だ。しかしサイケな『リボルバー』の瞑想曲『シー・セッド・シー・セッド』では、ハリスンがマッカートニーに迫る素晴らしいベースを聞かせている。これはポール卿をフィーチャーしていないビートルズの希少なトラックの1つだ。「喧嘩か何かだったよ。僕が「くそったれ!」というと彼らは「じゃあ、僕らでやるよ」と言ったんだ」とマッカートニーは1998年に発表された伝記『メニー・イヤーズ・フロム・ナウ』の中で著者のバリー・マイルズにそう語っている。

この曲はレノンが1965年にバーズのメンバーであるロジャー・マッギンとデヴィッド・クロスビーと一緒にLSDでトリップした体験にインスパイアされて作られた。その一方で俳優のピーター・フォンダは、怖がるハリスンに「あれは本当に死にそうになる」と自身の経験を話している。その結果、ハリスンのハイで飛び散るようなギターと、抜け目のないマッカートニー・スタイルのベースの動きが、アシッド・ムーヴメントへの祝福と冷笑の気持ちを同時に示すような演奏をもたらした。

Translation by Kise Imai

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