ビートルズが楽器を交換した名曲10選

Photo: John Pratt/Getty


『アナザー・ガール』


ビートルズの楽器の交換によるバンドの革新を最も確実に証明できるのは、何と言っても1965年公開の映画『ヘルプ!4人はアイドル』をおいて他にないだろう。少々やかましいカントリー・ロック調の『アナザー・ガール』がサウンドトラックに使われているまぬけなシーンで、マッカートニーはビキニを着た女性の真ん中あたりを適当にかき鳴らすふりをしている。そのあいだ、困った様子のハリスンはベースにいたずらし、レノンはリンゴのドラムセットを叩きながら虚ろな笑いを浮かべている。

より細部の話にはなるが、曲自体も見どころがある。ハリスンはこの曲でトレモロ・アーム付きのギターのリードを10テイク以上試したが、マッカートニーの耳障りなフィルインに取って代わってしまった。バンド中期においても、このベーシストは自分の役割を広げ、ほぼ間違いなく、自分の権威を主張しようと躍起になっていたのだろう

『マーサ・マイ・ディア』


颯爽としたホワイト・アルバムのこの小曲は、オーケストレーション以外は最初から最後までマッカートニーのみで、ミュージックホール・ピアノの伴奏、急に下降するベース、カッティングによるエレクトリック・ギターのリード、最小限のドラムとハンドクラップのすべてを彼自身が録音したものだということに驚きはない。『マーサ』は、冷めたラブ・ソングと作曲家の忠実なオールド・イングリッシュ・シープ・ドッグへ献身とを組み合わせて歌った風変わりなハイブリッドである。だが、それでもなお、優雅なストリングスとブラスのアレンジを担当したジョージ・マーティンとの本物のコラボによって本作は生まれた。

マッカートニーはバリー・マイルズが著した『メニー・イヤーズ・フロム・ナウ』でこう語っている。「ジョージ・ハリスンがある日僕にこう言ったんだ。「僕にはこんな曲は書けないよ。でも君にはできる。君には何の意味もないことだけど」って。深いレベルでは僕にとって意味があるのは事実だよ。でも表面上は『デズモンドとモリー』や『マーサ・マイ・ディア』のようなファンタジーであることが多い。本当はマーサのことを歌っているんじゃないんだ。一種の愛情表現なんだ。ちょっと抽象的だけど」。

Translation by Kise Imai

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